『怒涛の鯨のタタキ』
「コーギー生活」病気怪我トラブル編


頭から尻尾に向かって、今までのさまざまなトラブルを記述しました。

単なる老化だと思っていたものが、実はDMの初期症状だったりと 、
あとから見れば、重大な変化を見過ごしていることがよくわかります。

後ろ足を引きずる=椎間板ヘルニア・・・
・・・とは限らないのです。

そう、アルは椎間板ヘルニアではなかったのです。

2歳10ケ月で悪性リンパ腫と診断されたジェリーの闘病もまとめました。

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頭部・皮膚・被毛
乳歯から永久歯へ
(2004年5月更新)
子犬の歯はとんがっていて、ちくちくする。前歯はハート型でかわいいし、牙は釣り針のように細くカーブを描いている。

犬も人間の幼児のように、歯が生え変わる。アルの歯の生え変わりに私が気づいたのは、生後丸4ヶ月と10日後の1995年3月18日。

この日、チェックしてみたら、乳歯3本、抜けた穴があった。1本はすかさず拾って、手帳にテープではりつけて保存。あとの2本はどうしたんだろうか。アルが食べてしまったのだろうか。翌日19日、アルの下の前歯は全部抜けていた。
3月28日、牛皮で作った靴の形をしたガムをかじっていたアル、奥歯がポロッと抜けた。自分でも驚いた様子だった。この奥歯もすかさずキャッチ。小さな奥歯を保存している。生後丸5ヶ月たった4月半ばになると、奥歯や小臼歯(?)もガムを噛んでいて次々に抜けていく。驚いたような不安げな表情をしているワンコがかわいい。永久歯は、すぐ下にスタンバイしているらしく、ふと気づくと立派な歯が生えてくる。最後まで残っていた牙、これが抜けたのが4月の終わりで、手帳に貼り付けているのが4月30日と5月3日だ。すべての永久歯が揃って、若犬のきれいな輝く白い歯となった。

烈肉歯、折れる
(2004年5月更新)
生後1年もしない頃、「ひづめ」をかじっていて、歯が欠けた。犬歯のひとつ奥あたりの位置にある、肉を引き裂くための大きな立派な歯である。仰向けになって、短い前足でひづめをかかえこむという行儀の悪い格好がいけなかったのか・・・。自然界では、硬い骨や石で歯が折れたりかけたりすることはよくあることらしい。

犬の歯医者さんはいない。犬の義歯なんてのも聞かない。歯髄が見えるほどだったから、ヒリヒリと痛かっただろうが、放置するしかない。いつの間にか、びっしりとした歯石が固まり、その部分をコーティングするかのように覆い尽くした。・・・歯石はばい菌の塊。これはこれで別の病気になるのではないかと心配の種になってしまった。


歯磨きのしつけにも失敗したから、歯周病の心配は消えないし、高齢ワンコのほとんどが、歯周病にかかっていると聞く。時たま、歯にいいといわれるおやつ「グリーニーズ」(小麦グルテン・クロロフィル)や牛皮のガムをかじらせて、歯磨きさせている。


(2013年8月):オキシドールでこすったり、ベーキングパウダーでこすっても歯石は取れやすくなるそうだ。時間が戻せるのなら、毎日、あるいは最低でも週1回は歯磨きして、なんとしても歯周病にかからないようにしてやりたい。

ダニ大発生

耳の外側にびっしり

(2004年5月更新)
輸入物の木製ハウスを購入したら、ダニもたっぷりついていたらしい。
そのハウスに入りたがらないアルに「ハウスしなさい!」と無理やり入らせてしまった・・・。

翌日、アルの耳を触っていたら、妙にゴツゴツしている。チェックしてみると、ダニがびっしり付いていた! かゆがらずに、のほほ〜〜んとしているので気づくのが遅れたではないかっ!

ダニはむしりとってはいけないらしいが、飼い主の私があわててしまって全部むしりとって、ガムテープに貼り付けて処分。左右の耳それぞれに15匹ずつほど付着していた。

ダニは芥子粒のように小さいが、血を吸って大きくなると、マッチ棒の頭くらいに膨れ上がる。むしり取ると、ダニの歯が皮膚に残ってしまうから、マッチに火をつけて吹き消してすぐに熱いうちにダニに押し付けるとポロリと落ちる、という。・・・しかし、実際にはそんな恐ろしいことはなかなかできないので、毎日、グルーミングの際にダニチェックするのが良い。ダニが媒介するおそろしい病気もあるし、ひどくアレルギー症状を起こすワンコもいるので、軽く見ないで、ワンコの快適な生活のためにも、駆除を徹底し、部屋の掃除も徹底したいところだ。動物病院で、「フロントライン」というノミ・ダニの駆除薬を処方してもらえる。これは、シャンプー後、数日してから、体に垂らすだけ。なぜシャンプー後数日してからかというと、体の皮脂が適度に出てからのほうが効果的らしい。

鳥の糞にはダニがいるという。ダニは、ノミみたいにジャンプできないので、木の下で(つまり、鳥の糞が落ちるところで)ワンコが通りかかるのをじっと待っている・・・。
ノミ対策
(2004年5月更新)
ノミを初めて見たのも、アルのおかげ。・・・というか、初めてノミというものを見た時はショックだった。不潔の代名詞と思い込んでいたノミというものが、我が愛犬にいるということがショックだった。(大げさ。)小さいのに、図解で見る通りの姿をしているのに感動し、噂どおりのジャンプ力に慌てた。

散歩に出かけたらノミを拾ってくる、と思うくらいでちょうどいい。犬の美容院で拾ってくる場合もある。考えてもみよ。自分ではまったくグルーミングせず、トリマー任せの飼い主もいるかもしれない。そうしたところのワンコもお客として来ていることは充分に考えられる。

退治方法: 突然起き上がり、ガーーーッとかゆがるのなら、それはまずノミがいる場合だ。新聞紙と、ブラシ、櫛、ノミ取り櫛、洗剤液を入れたバケツを準備せよ。新聞紙の上にワンコを寝かせ、まず、かきむしった場所から丹念にチェック。ノミを捕まえるのに最高の武器は、実は、ペッとなめてツバでぬらした指だ。捕まえたら、洗剤液のバケツで溺れさせる。ワンコの体の上で、爪で潰したくなるが、そうしない方がいい。

シャンプー時の注意: ノミはシャンプーから逃れようと、ワンコの耳や目、お尻にと避難するから、まず退却路を絶つこと。つまり、体を濡らす前に、シャンプー液で、首の回りを濡らす。気休め程度ではあるが、これで、頭部への逃げ道を遮断することができる。もっとも、シャンプー前に、丹念にブラッシングするのが一番よい。

ノミ取りの薬剤: 動物病院で処方される「フロントライン」、「フロントラインプラス」が一番。副作用もないし。ノミ取り首輪は、うちでは使わない。あれは、農薬だ。枯葉剤と同じ成分だというではないか。近所のワンコで、ノミ取り首輪のせいか、鼻がおかしくなっちゃって、という子がいた。そんなのよりも、ノミのきらいな成分のハーブオイルをしみこませたバンダナを巻くほうが安全でおしゃれ。ワンコも嫌いな匂いかもしれないけど。

効果的なサプリメント: ガーリックイーストというサプリメント。これは、皮膚と被毛の健康にもいいらしい。摂取を続けていれば、蚤の嫌いな匂いを犬の体が放つようになるらしい。アルは、もうずっと、10年近く、このタイプのサプリメントを取っている。めったにノミはつかないのです。

脂漏性湿疹
(2004年5月更新)
フードのせいだったのか、若かったからなのか、アルが生後1年未満の頃、見られたのが湿疹。体の体幹部分や顔にかゆそうなカサブタ状のものができ、ゴソッと被毛ごと取れる・・・。病院に診せて、注射と投薬で完治。若い頃だけだった。フードをできるだけ良質のもの、自然食タイプのものに替えたせいか、以後は一度も悩まされることがなかった。

下痢・血便・嘔吐・不妊手術
血便
(2004年5月更新)
血便・・・、アルが一番最初に驚かせてくれたのがこれだ。

アルがうちに来たのが土曜日。日曜日を一緒に過ごし、日曜の夕方、少し血のついた便。即、ブリーダーに電話して聞くと、「環境の変化か、虫がわいていたのが出てきたか」と思う、とのこと。犬は、土をなめたりするので、虫はわくのだそうだ。検便してもらうようにとのことで、翌月曜日、夕方、初めて動物病院へ行き、検便。異常なし。月曜日は、獣医から帰って、夕方にやはり血便。アルを見ると、元気いっぱいの様子。アルは、私がウンチを片付けている隙にケージを出て、廊下をタタタタタッと走り回っている。・・・限りなく元気だ。

ストレスでワンコが血便、人間大慌ての1日でした。

この頃の手帳を見てみると、アルの食事と排便の様子を克明につけている。

1995年3月13日(月)(アルがうちにきて3日目)
午前6時半:大は床の上、小はペットシーツの上にたっぷりしていた。大は血便なし。食事、完食。元気。
午前7時:少し外へ出す。
午前中:眠らない。
11時: 小、ペットシーツをはずした。母と少し遊んでから寝る。
午後1時半:昼食、完食。
午後2時半から、寝る。昼寝のあとの小、2回、ペットシーツに命中。
午後5時20分:起きて遊ぶ。
午後6時:大、ペットシーツの上に成功。獣医へ行く。異常なし。
午後6時30分:夕食、完食。
午後6時40分:大、ペットシーツから少し外れる。少し血便。

6時頃にはすでに起きていて、夕方は7時頃に寝る、という健康的な生活のワンコでした。

冷えてぐったり
食欲不振元気なし

(2004年5月更新)
アル、どーしたの? 食べないの? 起きないの? 散歩しないの? アルがまだ若犬の頃、秋のちょっと冷え込んだ日、私は慌てた。ワンコが丸1日食べないのは異常だ。

医者に診せると、「冷えたんですね、そうですよ、犬も寒いと冷えて具合が悪くなることがありますよ、病気じゃなくてもなんとなく気分が悪い事だってありますよ、人間と同じですよ」、と。回復の方法は人間と同じ、ゆっくり休むこと。犬は体を治す方法を知っている。まずは、安全な静かな場所で休ませて、無理に食べさせないこと。胃腸も休めてやらなくては。

「食べたがるようだったら、ご飯をホンの少々(大さじ1杯くらい)に鶏のササミを湯がいて裂いたものをのせて食べさせてやってください、くれぐれもほんの少々ですよ」というアドバイスに従った。

ワンコは寒さに強い。しかし、個体差がある。寒さには強いけど、耐えられるけれど、暖かいのも大好きなのだ。暑いのは嫌いだけどね。


ワンコはデリケートだ。甘えっこだ。ワンコはすねる、甘える、ふてくされる。早目に気づいてやりたい。

ワンコの短い一生、できるだけ快適に過ごさせてやりたい。ワンコはクッションが大好き。体が埋まるようなフカフカのベッドをワンコ用に与えよう。そして、少し具合が悪い時、怖い時など、シェルターとして隠れることのできる屋根付きの隠れ家的ハウスもそばに置いてやれば完璧、かな。

ちょっと下痢
(2004年5月更新)
原因は、「柿」の食べすぎ。柿は体を冷やす食品である。人間でもおなかがゆるくなる場合がある。

それなのに、もらった柿のあまりのおいしさに、ほんのちょっとだけだから、と与えてしまった。アルに食べ物を与える時は、アルの体重12キロを考え、我々が食べる分の5分の一以下にする。・・・「柿」の時もそうしたつもりだった。だが、家族三人それぞれがちょっとずつ与えてしまったのだ。三人が与えてしまった量を合計すると、柿一個となった。つまり、体重60キロの人間なら、一気に5個の柿を食べたことになるではないか。それは食べすぎだって。

いつもの動物病院で受診。注射とお薬。それと一日間の絶食で完治した。

下痢の時は丸一日の完全絶食(水もダメ)、この方法は、我が家独特かもしれないが、人間にも適用される。効果抜群。お試しあれ。
老犬の下痢
(2006年2月更新)
どうしたことか、アルは10歳頃から、おなかが弱くなった。どこが悪いというわけでもないのに、調子を崩しやすくなった。少し前までは食べても平気だった缶詰フードを食べると、てきめんに下痢する。「市販の缶詰フードは、脂肪分が多いから、胃腸に負担が大きいかもしれませんね」とかかりつけの獣医さんはおっしゃる。値段的には、動物病院の療法食よりも高価なのだが、値段が問題ではないのだろう。市販の缶詰フードを食べさせなくても、下痢する時がある。今まではまったく平気だったベジタリアンドライフードを食べたがらなくなった。これは、食物繊維が多くて、ウンチの量が非常に多くなるのだが、それはつまり、胃腸の仕事が多くなるということなのだろうか。アルは、胃腸に負担をかけたくないのだろうか。単に、ベジタリアンドライフードが嗜好性に欠けるから食べたがらないのだろうか。「今までは平気であっても、食べ続けることによって、アレルギーが出てくることもある」と、獣医さんはおっしゃるのだが、そうならないように、いろいろなものを食べさせてきたつもりなのに・・・。重篤な状態にならないように、調子を崩すたびに動物病院に連れて行く。食事も病院で処方される、胃腸の弱いワンコ用、ヒルズの療法食〔i/d〕を食べさせることが多くなってきた。

年を取るとはこういうことなのだろうか。後ろ足を動かして歩くための神経の働きが鈍くなって、歩けなくなった・・・ということは、腸の働きをつかさどる神経の働きも鈍くなるということもあるのかもしれない。

単なる下痢ではなかった
うちのアルは「アジソン病」ではなかったが、アジソン病という病気は、下痢や嘔吐などの胃腸障害を思わせる病気のふりをする。これは、副腎が冒される病気で、急激な発症の場合、食欲不振・嘔吐・下痢、そして体の電解質のバランスが狂って腎不全を起こし、カリウムが体内に大量にたまることによって、心臓にも異常を来たし、急死することもある怖い病気である。

では、アルの下痢はなんだったのか、というと、詳しくは、「椎間板ヘルニアではなかった。アジソン病?それとも?」にて。

ヒートと
 不妊手術

(2004年5月更新)
個体差はあるが、生後半年には、ほぼ成犬の体格になり、生後8ヶ月頃には女の子にはメンスが来る。基本的に小型犬ほど成熟が早く、大型犬は大人になるのが遅い。したがって、生後8ヶ月から1年半の間に、ほとんどの犬が性的にも成熟する。

アルに出血が見られたのは、手帳によると1995年7月21日。生後8ヶ月と10日目だ。そういえばこの数日前から分泌物が出ていた。

生理用のパンツが市販されているので、それをはかせてみた。2日間はおとなしくパンツを着用させてくれたが、3日目からは自分でむしり取り、いやがってはかせようとしない。仕方ない・・・というか、ムリもない話なので、雑巾でふいて回る生活が始まる。ポタ・・・ポタ・・・と、出血はけっこう長い期間続く。ようやく出血がおさまったのは、8月9日。ちょうど20日間続いたわけだ。

この間、男の子ワンコたちの積極的アプローチは気の毒なほどだ。ヒートの時期の女の子ワンコの飼い主は、散歩の時間帯をずらして、他のワンコと出会わないようにするのがマナーである。女の子ワンコの匂いに刺激されて、発情する男の子ワンコがどんな行動しようとも、それはその子の責任ではないのだから、気の毒である。犬の場合、出血がおさまってから妊娠可能な時期がやってくる。これからの約10日間は望まぬ妊娠を避ける努力が必要。後ろから見てはっきりわかるほどに、陰部が腫れあがっている。元に戻るのにひと月以上かかった。ちょうど真夏の時期とも重なり、アルは気の毒なほどにだるそうで暑そうだった。この夏は記録的な暑さでもあった。

ふと気づくと、アルのおっぱいが腫れていた。仮想妊娠状態である。アルにとって、最初(で最後)のメンスは、大変なストレスとなった。

初潮前に不妊手術を受けさせておくと、雌犬に多いといわれる乳ガンに罹る率がほとんどゼロになると読んでいたのだが、迷っているうちに、その時期は逃してしまった。しかし、不妊手術を受けさせる気持ちに変わりはなかった。雌犬に多い、乳がん・子宮蓄膿症などは、不妊手術でほとんど避けることができる。しかし、メンス2度以上を経験してから手術した場合、乳がんに罹る率は高率のままだという。この初潮でアルは心身ともに大きなストレスを受けたのがはっきりしたので、アルの体調が戻り、気候も涼しくなった11月1日。1歳になる直前に、アルに不妊手術を受けさせた。手術の日は朝から水も与えないで絶食。その日の午後に、子宮と卵巣の全摘出手術。翌日退院。おなかのキズは、細い針金(のような糸?)で留められていた。アルが傷口を舐めないように、タオルに紐を3本縫いつけ、おなかにあて、背中で紐を縛って、包帯代わりにカバーした。抜糸したら、そのキズは跡形もなかった。

うちの子の子どもを残したい、と無邪気に望む飼い主は多いが、生まれた子犬たちの行く末に責任が持てなければ、そんなことをしてはいけない。一般人はブリーダーではない。プロのブリーダーのように冷静に、命を選び、淘汰する能力や度胸がないのだから、金儲けを考えて、ブリーダーもどきの命の売買などする資格はないのだ。

爪・スジ・老化・椎間板ヘルニア・膀胱炎・膀胱結石・副腎皮質機能低下症(アジソン病)・急性すい炎
爪磨り減り出血
(2004年5月更新)

アルの歩き方は、与太っている。・・・人間でいうとちょっと内股、なのかもしれない。幼犬の頃から、やたらと爪音を響かせていた。・・・チャッチャッチャッチャッ・・・・。

その結果、前足の4本中の中の2本の指の爪は、血がにじむほどにすりへっている。実際、長時間の散歩を数日間続けると、出血する。

その対策として、犬用の靴を履かせたり、人間の赤ちゃん用のソックスを改造して履かせたりしたが、靴は歩きづらいらしく、つまづきそうになるし、ソックスごときは3分も歩かないうちに破れてしまう。ソックスにツギを当てて補強して履かせたりしたが、「こんなもんっ、脱いでやるっ!」と、散歩の途中で勢いよく走って振り飛ばしてしまった。・・・。靴下、20足くらい用意したのに・・・。

出血したら、ばい菌が入らないように消毒して、翌日から数日間は無理に歩かせないようにしている。もともと、アルは散歩があまり好きなワンコではないので、散歩を短時間で切り上げるのは難しいことではなく、アルとしては大歓迎の様子である。

爪脱臼
(2004年5月更新)
アルがしきりに前足を舐めていた。「見せて」と触ろうとすると、歯をむき出して悲鳴をあげる。・・・「どーしたのっ!!!」、焦る飼い主。

押さえつけて爪を見ると、ブランブランと抜けそうになっている爪。悲鳴をあげるワンコと飼い主。

いつもの動物病院に診せると、「固定して様子を見ましょう」と、包帯を巻いて、化膿止めの飲み薬をくれた。・・・包帯なんか、帰宅したその場で、アルがほどいてしまったよ・・・。
一週間たっても、爪が固定される気配はない。今から思うと、抜けかけた爪が固定されるものか。「様子を見ましょう」というのはあまり良い診断とは思えないな。

爪の状態が悪く、そこからの出血も頻繁に起こるようになったので、連休中ではあったが、休みの日も営業している24時間診療可の動物病院を探して、高速道路を飛ばした。そこで、「爪、抜いちゃいましょう」と、あっさり抜かれてしまった。包帯などしっかり巻きながら、「この包帯、取れたら取れたままで構いませんよ」とのこと。「しばらくするときれいな爪が生えてきますよ」との仰せの通り、アルはその後、痛がる様子もなく、爪もきれいに生えてきた。

室内飼いのワンコは、カーテンなどに立ちかかって爪をひっかけることもあるという。意外なものがケガの原因になっていますね。

ガウガウの果て…
筋伸ばし

(2004年5月更新)
「郵便屋さんだっ!」、ガウガウと吠えながら勢いよく飛び出したアル、次に聞こえたのはアルの悲痛な悲鳴だった・・・。その場にうずくまって悲鳴を上げ続けるアル。

びっくりしたのは郵便屋さんである。いつものガウガウワンコが悲鳴? 

また爪でもはがしたか?と思ったけど、様子がおかしい。触られるのを嫌がる。もちろん歩きたがらない。動物病院に診せたら、後ろ足の筋が伸びていた。人間でいうと、膝あたり。筋が切れたのではなく、伸びちゃったのである。かなり痛いものらしい。痛み止めの注射。「無理して散歩させないでください」との指示。(もちろん、散歩嫌いのアルには何よりの処方ですね。)二日ほどは、抱っこして外に連れて行ってトイレさせた。ご飯の時以外は、ひたすらハウスで寝ていたが、二日で全快。・・・ワンコってすごい。

毎度の夏バテ
(2004年8月更新)



毎年のことだが、6月の入梅の頃になると、一日か二日、食欲不振となり、まったく食べないことさえある。翌日か翌々日に、ケロリとして元通りの元気な食欲を見せてくれると安心なのだが、今までの経験から言うと、どうやら、そう気楽なものではないようだ。

いつも喜んで食べるワンコが1日以上も食欲がないというのは、どこかに異常があると考えてよいと思う。何より、飼い主の不安を解消するためにも、病院に行って、その原因を突き止めるようにしたい。

うちのアルの9歳8ヶ月時の夏バテは、飼い主を慌てさせた。いつもの食欲不振とひたすらぐうたらネンネのあと、食べた朝食を突然に吐き、それも一度、二度、三度、四度、そして、吐くものがなくなっても、ネバネバのアワアワを吐き、さらにそれに血が混じったものを吐き・・・ホントだったら下痢もしたいんだけど、という様子さえ見せた。

仔犬の時の食欲不振は、「もっとうまいものを食わせろ」というワンコと飼い主の駆け引き、の場合も多いが、7歳過ぎての食欲不振は、駆け引きというより、「具合悪いんだからほっといて」のサインではないだろうか。とにかく、丸1日食べないというのは犬にとっては異常事態なのである。

うちのワンコの場合、食欲の消失だけでなく、嘔吐が見られる。元気な時は、触られたがりのワンコなのに、触られるのを嫌がるし、迷惑そうな顔をするし、おなかを触ると痛がる。ここで獣医師に診せると、「胃だけでなく腸も」悪くなっていることがわかる。

急激な暑さや湿気が犬の体には大きなストレスとなり、人間が思っている以上にワンコの体はダメージを受けている。ワンコは、我慢強く、なかなか痛みを訴えない。獣医師の診察、快適な環境、指示通りの食事を与えて養生させると、数日で全快、いつもの元気で活発なワンコに戻る。

(2013年8月):アルにとって6月とは、狂犬病予防ワクチン、感染症予防ワクチン、この2本の注射のあと、ひと月たった頃だ。今思えば、夏ばてではなく、ワクチンの副作用ではないか、という気がする。予防ワクチンの副作用で亡くなる犬たちも確かにいるのだから。

老化現象
(2005年5月更新)

ワンコが老化現象を見せ始めると、悲しいものだ。アルも9歳頃から、いろいろな変化を見せ始めた。

白髪
黒や濃い色の被毛のワンコの目や口の周りの毛が白くなっているのはよく見かける。アルの場合、耳の後ろ、後ろ足のかかと部分などの白髪が目立ち始めたのが9歳半ばである。こうなると、被毛の手入れも毎日丁寧におこなってやりたい。年を取ると、なんだか薄汚くなってくるのは、人間だけでないのだから。

よく寝る・・・犬は食べる時と遊ぶ時以外は、寝てばかりいるものであるが、それにしてもよく寝るようになった。朝散歩の後、朝食後にひと眠り、昼食まで眠って、昼食後に眠って、昼散歩。夕食まで眠って、夕食後に眠って、やおら起き出して、飼い主と引っ張りっこ遊びなどしてから、本格的にオヤスミなさい・・・。


足腰の衰え
これがみられるようになったのも、やはり9歳になってから。後ろ左足の爪が異常に磨り減っているのに気づいたのが、足腰の衰えの発見のきっかけだった。最初は、椎間板ヘルニアか?!と心配したが、老化による衰えだろうとの診断だった。

左後ろ足を引きずるように歩いたり、いつもなら軽々とジャンプする段差の前でためらったりすることもある。だんだんひどくなる、という状態ではないが、調子のいい時と悪い時があるようだ。アルは室内・敷地内では放し飼い状態なので、気の向くまま好きなように走ったりうろついたりしている。散歩嫌いだからといって、運動不足というわけではない。若いうちにしっかり筋肉をつけておくこと、できるだけストレスなく過ごさせることが老化防止には大切だと思う。

(2013年8月):無知な私が悔やまれる。今なら、「これぞDM」である。「老化、年のせい」ですべてを片付ける医者は、人間用の医者にもなんと多いことか。いったん病を得たら、もう死ぬまでかかわり続けるのだ。

膀胱炎
(2005年7月更新)

(2007年10月追加)
人間の女性の場合、「オシッコを一回我慢しただけでも膀胱炎になる」と言われるほどになりやすいものである。ワンコとて膀胱炎にはなるのだ。年を取れば、その危険性は高まる。

やけに股間を舐めるなぁ・・・と気になった時に、病院に診せておけば、重症化はしなかっただろう。しかし、結果的には、そう思った時から半年以上もたって、血尿が出てから病院に飛んでいった。これはまったくもって飼い主の不注意、怠慢。

ワンコの体をグルーミングする時、股間にオシッコがへばりついて少しでも被毛が汚れていたら注意。ワンコが汚れを気にして、股間を舐めるようになる。これは、痛がっているのかもしれないし、膿が出ているのかもしれないのだ。おしっこの回数が増えたら注意。(メスの場合。)

膀胱炎になると、膀胱の粘膜が硬く分厚くなり、自在にふくらんで尿をためることができなくなる。だから、しょっちゅうオシッコしたいし、オシッコしても残尿感が残ってスッキリしないのだ。膀胱炎が重くなった場合、オシッコの色は濃く、一回あたりの量は少なく、オシッコの始めに白い膿が出て、最後にボトリと血が出る。いきなり、真っ赤なオシッコというパターンばかりではない。(メスの)オシッコの採取は、きれいに洗った(スーパーの、サンマなどが載っている)細長い発泡スチロールのトレイなどをオシッコポーズを取った時に両足の間に差し込む。それを、きれいに洗ったガラス瓶などに入れて、病院に持って行くといい。朝一番のオシッコがいいのはいうまでもない。もちろん、病院で、オシッコ採取用のスティックを渡されたらそれを使えばいい。うまくオシッコがスティックにかからなかった場合を考えて、トレイにたっぷり採取するのだ。

うちのワンコの場合、投薬と食事療法半月ほどで完治した。

膀胱炎は重篤な病気のサインではないか?
(2007年10月更新分)
あとから思えば、アルは膀胱炎のあと、目に見えて足を引きずるようになり、どんどん衰えはじめた。他にも、「膀胱炎の後、足を引きずるようになった」というコーギーたちは多い。コーギーに限らず、アルの犬友だちもそうだった。「膀胱炎の後、左後ろ足を引きずるようになって」・・・それからはどんどん衰え、犬に残された時間は少ない。

2007年8月末、アルは12歳と9ヶ月の時に、突如、重い膀胱炎にかかった。当然、ストルバイトの結晶も見られた。膀胱炎は犬に比較的多い疾患であるとされ、原因は様々だ。犬では、細菌感染によるものが多いらしい。抵抗力が衰えていれば、細菌感染し、膀胱炎になる。膀胱粘膜がはがれ落ち、それが結石の核になることがある。尿のペーハーはアルカリ性になり、さらに細菌が増殖する。尿のペーハーをできるだけ酸性に保つことが必要だ。肉や卵などの良質なタンパク質を取っていれば、自然に尿は酸性に傾くものらしい。さらに、プルーンに含まれる「キナ酸」が尿を酸性にしてくれるのだそうだ。

この時にかかった膀胱炎はなかなか治らず、アルの体力を奪った。アルの筋力はますます衰え、自力で排泄することも次第に難しくなっていった。膀胱炎を侮るな!

膀胱結石
(2005年7月更新)
結石にもいろいろな種類があるらしいが、うちのワンコの場合は、ごく普通のストルバイト結石。実際は、まだ石にはならない、結晶レベルで発見。設備の整っている病院なら、まずエコーを取る。超音波診断である。お腹の毛をそる必要もなく、ワンコはおとなしく仰向けになっている。このエコーで、膀胱の粘膜の分厚さなどがよくわかる。石も見えるようだ。石かどうか不明な場合、エックス線撮影をして確認する。

うちのワンコの場合は、結晶レベルであったので、もちろん手術の必要はなく、併せておこなった膀胱炎のための投薬治療と、尿のペーハーバランスを酸性化して膀胱の内部をアルカリ性に保つための療法食にドッグフードを切り替えて完治した。人間の食べ物はできるだけ避けること、新鮮な水をたっぷり用意することが大事だ。ウォルサムの療法食は、動物病院で購入できる。膀胱炎、膀胱結石は再発しやすいので、この療法食は一生涯続けることになるかもしれない。

椎間板ヘルニア
(2005年7月更新)


コーギーやダックスの飼い主が一番怖れているのは、椎間板ヘルニアではないだろうか。腰に負担のかかりそうな体型、食欲旺盛で太りやすく、元気ゆえに激しい運動をして腰を痛める危険性もある。いつ発症してもおかしくない。

9歳の終わりごろから、左後ろ足を引きずり始め、走る時に、うさぎ跳びのように、あるいは、馬のように両足を揃える様子が見られるようになった。

椎間板ヘルニアではないかと思ったが、この時期、医者に診せたが、「激しい運動を控え、ジャンプをさせないように気をつけて」という指示だった。



10歳になってから、左後ろ足の引きずり具合がひどくなり、足の裏で普通に踏ん張らずに、「ナックリング」という足の甲で立つ状態が見られるようになってきた。足の血行が悪くなったか、アルの足先はひんやりと冷たくなったきた。膀胱結石の診断のために撮影したエックス線画像で、「膀胱結石はできていませんが、それより重要なのは、これです!」と指摘されたのが、腰あたりの椎間板。椎間板が2箇所、言われて見ればわずかに狭くなっていて、いつ椎間板ヘルニアを発症してもおかしくない状態とのことだった。この時の病院は、膀胱炎・結石治療を優先し、椎間板ヘルニア対策としては、できるだけ安静を保つ、これだけの指示だった。

そんな折、ちょうど10歳と6ヶ月、近所のいつもの動物病院の先生がアルのナックリングに気づいてくれた。この時は、足の裏のかゆみとフィラリアの予防薬をもらいに行ったのだが、「それよりも、これです!」と、「椎間板ヘルニアの症状で、血行障害が起きている」との診断。投薬治療を開始した。

投薬4日目あたりで、ナックリングが見られなくなり、足を引きずらず、ふらつき加減であるが、しっかりと踏ん張って歩くようになった。投薬治療を無制限に続けるわけにはいかないので、投薬量・投薬中止時期の見定めのために、1週間ごとに動物病院に行くことになっている。もともとは椎間板ヘルニアの薬ではないらしいが、血行障害を改善するのに効果的だといろいろなところから発表されているのだそうだ。慎重に、かつ、ワンコのために大胆に治療してくれる医者に恵まれているんだなぁと感謝する。


(2013年8月):「これぞDM」の症状である。今なら、進行を遅らせるいい薬があるかもしれない。


椎間板ヘルニア
・・・その後

単なる老化?

運動不足?

(2005年11月更新)


椎間板ヘルニア! うちのワンコは寝たきりになっちゃうのだろうかっっ?! と、おっちょこちょいの私は慌てはするが、悲観的にはならない性格なので、いろいろ調べて諦めないことにしている。調べるだけじゃなくて、実際に試すのだ。アルにとっては迷惑かもしれないが。

鍼灸治療鍼灸を治療に用いるとある獣医師さんは、「椎間板ヘルニアじゃありませんよ、肥満と老化です。治ります」、と、言ってくれた。そう言われると、鍼灸治療に頻繁に通いたくなるのだが、怖がりワンコのアルは、治療の最中もなかなかリラックスしないので、結局、3度しか鍼灸治療は受けていない。治療は信頼関係がないと効果がないと思うので、恐怖が先にたつアルには、飼い主が期待するほどの効果がないのかもしれない。

鍼灸は、血行をよくすると言われる。それは、本来の血管の血行を良くする、というよりは、そのそばに細い血管を作ってやって、本来の血管の代わりをさせるということらしい。バイパスを作るようなものかな。

5月(10歳6ヶ月時)頃から急速に衰え
走るときの後ろ足がうさぎ跳びみたいに揃ってる・・・と気づいたのが、9歳半頃。時折、後ろ左足をズリリィィと引きずるようになったのが、10歳と4ヶ月頃。そして、テーブルに立ちかかることもできなくなった。大好きなドライブでも、ドアに前足をつき、立ちかかって風景を楽しんでいたのが、立ちかかることができなくなり、一生懸命首を伸ばして、外を見ようとするようになった。後ろ足が弱って、体を支えることが辛いのだろう。玄関の段差も12センチの段差ならなんとかあがるが、19センチの段差だとのぼることができない。降りる時は、下半身はおりるというより、落下している。



10歳半の頃には、下半身は弱っている左後ろ足を下にして、下半身を引きずり前足だけで移動するようになってしまった。「アル〜〜っ! ちゃんと立って! いっちにぃいっちにぃと動かしなさーーーい!」と叫んでも、「引きずったほうが早いじゃんっ」という感じである。

安静か?運動か?
長年のかかりつけの医師は「できるだけ安静を保つように」と言う。しかし、寝てばっかりいると、筋肉は間違いなく衰え、そして間違いなく太り、確実に回復を遅らせる。悪くはならないかもしれないが、決して良くはならない。おまけに、昼寝ばかりすると夜は眠れなくなり、ひとりで起きているのが怖くてさびしいのは人間ばかりでなくワンコも同じのようで、「お〜い、起きてよ〜、遊ぼうよ〜」、と呼ぶ(吠える)ので我々が寝不足になる。健全なる魂は健全なる肉体に宿るのだ。最低限の運動はさせなくては。






抱っこして自動車に乗せて、近所の公園に行き、芝生の上におろしてやって、オシッコとウンチを済ませて、さぁ車で帰りましょ、・・・てな生活は改めなければならない。動かさなければ衰えるのだ。悪化する速度よりも、筋肉の衰えのほうが早く、運動不足は、アルの「よくなろう」とする意欲や能力すらも奪ってしまうような気がする。






機能回復用歩行車(一見、車椅子)

ワンコにとってはスケートリンクのようなフローリングの室内飼いで、ムリに踏ん張る、勢いあまってひねって転ぶ、この繰り返しでじわじわと痛んだのか、アルの腰。時折、引きずっていた後ろ足が、頻繁に引きずり、下半身がふらつき、まともに3歩も歩けなくなってきた。3歩歩いて、ふらついて下半身コケッ、立ち上がれなくてそのまま引きずり移動、立たせてやって、またふらついて下半身をひねってシリモチ。

散歩中転ばないようにと、タオルで吊り上げ支えたりの工夫をしていたが、支える自分の腰が痛くなる。車椅子しかないかもと思ったが、まだ歩けるのに、「車椅子」を使うとますます衰えるのでは、と、迷うこと2ヶ月。ネットで見つけたヤマペットさんのサイトをじっくり見ていたら、「下半身が動かなかった老犬が、後ろ足機能回復用の歩行車で後ろ足の筋肉が回復し、歩けるようになった」との利用者の声を見つけた。その形がどういうものか想像がつかないまま、注文することにした。









半月ほどして到着したその機能回復用の歩行車は、実によくできていて、装着したままオシッコもウンチもできるし、後ろ足はもちろん動かせるし、もちろん下半身がふらついてこけることもない(・・・というかこけることはできない)。何よりも形が美しく、プロの出来具合。見た目の美しさは愛着につながるから、とっても大切(と信じる)。もともと散歩嫌いのワンコだったので、嬉々として装着し「散歩に行こうよ!」、と、せがむわけではないが、嫌がらずに装着させる。最初の10日間ほどは、私が用心し過ぎて、ほとんど歩かせなかったが、「もっと運動して、健康なワンコになってもらおう!」、と、ヤマペットさんのアドバイスもあって、考えを急転換。8月17日から、せめて500メートルは歩こうよ、と、オヤツを差し出しながらボチボチと歩いてもらっている。

がんばれ! アル!

さぁ、歩こう!

平成17年11月3日、歩行車が来て約3ヵ月後、アルの11歳の誕生日の直前、ヤマペットさんに技術指導にきてもらった。マッサージの方法も教えてもらった。「散歩量は一日に最低でも1時間、もっと運動させてください、運動しすぎるということはないのです、運動のあと、きちんと体のケアをしてやれば、どんどん健康な犬になります、運動嫌いの犬は見たことがありませんよ」、と。歩行車をつける老犬は、もっとぐったりと弱って、ボロボロでヨレヨレな状態の犬ばかりなのだそうだ。アルは、歩行車をぶつけてこわすほどに元気なのだから、疲れ果ててマッサージを嫌がる余裕もないくらいに歩かせても大丈夫なのだ。


ツボマッサージ

背骨に沿っていくつものツボが並んでいる。督脈というらしい。背骨に沿って、ツボマッサージをする。背骨の両側を親指の腹で5秒押さえて、5秒休む。歩行車で歩くと、前足が疲労する。そこで、前足の付け根というか首の付け根部分にあるツボもマッサージする。人間でいうと、首の付け根の肩こりに効きそうなあの部分である。適度な力でマッサージすると、とても気持ちが良いらしく、おとなしくマッサージを受けている。

また後ろ足は、外側、内側にねじったり、引っ張ったり、軽く叩いたりするマッサージも行うが、犬が嫌がったらやめること。

アルの後ろ左足は、立つための神経はまだ十分に働いているらしい。だから、時折立ち上がることができるのだ。だから、この神経を維持、強化するためにも、背中のツボマッサージは非常に有効であるらしい。

椎間板ヘルニア
・・・ではなかった!

アジソン病?
  それとも?

下垂体由来の
二次性副腎皮質機能低下症


(2006年12月更新)
副腎皮質機能低下症の疑い
生後5ヶ月からのアルを見てくれているかかりつけの医者が首をかしげる。果たして、椎間板ヘルニアだろうか・・・と。先生はいろいろな可能性を考えたそうだ。長年の付き合いで、「・・・胃腸障害ではない」と感じていたから、まず、膵炎とアジソン病を疑ったそうだ。最初の血液検査では、そのどちらでもない、との数値が出たそうだ。副腎皮質機能低下症には3種類あるのだという。副腎が損傷するアジソン病が、副腎皮質機能低下症のほとんどを占めるらしい。しかし、アルの血液検査では、副腎の損傷を示す数値は出なかった。
血液検査:ナトリウム・カリウム
つまり、ナトリウムとカリウムのバランスは問題なかった。

嘔吐、食欲不振、下痢などが、11歳の誕生日の1ヶ月ほど前から、繰り返し繰り返し、アルを襲った。たとえば、朝、食べない・・・食べすぎかな、様子をみよう、・・・と、翌日になると、吐く、ますます食べない。あるいは、ウンチがちょっとゆるい、・・・食べさせすぎたかな、絶食させて様子をみよう、・・・翌日になるとますますひどくなっている。こんなことは今までにはなかった、様子を見ると危険だ!と、次からは、食べない→即、病院。ウンチがゆるい→即、病院。ちょっと吐いた→即、病院・・・と対応した。ちょっと注射すればすぐに効果が出て治る。しかし、1週間か10日もすればまた食欲不振・嘔吐・下痢。ほぼ毎週の病院通いが、2005年10月から2006年1月にかけて続いた。毎度の体調不良と注射で、ついにアルは、診察台で暴れることを諦めた・・・。


同じ頃から、次第に、アルは朝なかなか起きなくなり、暇さえあればぐったりと眠り、そういえば性格もずいぶん怒りっぽくなったし、ぶるぶると震えることもあり、後ろ足の筋肉はますます弱ってきた。
すべてを考えあわせ、ヨコイ動物病院の先生は、副腎皮質機能低下症のアジソン病を疑った。副腎が損傷して機能せず、副腎皮質ホルモンが出ないことで出てくる病気を、人間の場合は「アジソン病」と呼ぶようだ。
副腎の損傷とは:
糖質コルチコイド、鉱質コルチコイド、性ホルモンが副腎からでるらしいが、これらが出なくなって、さらにナトリウムとカリウムのバランスが崩れることがいっぺんに襲いかかることが、いわゆるアジソン病で、副腎が損傷した状態だそうだ。

一般的な血液検査の結果、副腎は損傷していないとわかった。(だから、アルはアジソン病ではない。)しかし、「アジソン病は胃腸疾患のふりをする」という経験を持つかかりつけの先生は、さらに試薬を取り寄せて詳しい検査を行った。結果、その微妙な数値から、脳下垂体からの副腎皮質刺激ホルモンの分泌不足という2次性の副腎皮質機能低下症ではないか、との疑いを先生は持ち、設備の整った病院でのCTとMRI検査を段取り付けてくれた。

糖質コルチコイドと鉱質コルチコイド
糖質コルチコイドが分泌されなくなる場合、鉱質コルチコイドが分泌されなくなった場合とでは、治療に使う薬が違うとのこと。アルの場合は、糖質コルチコイドが出ていないそうだ。鉱質コルチコイドを錠剤で補う必要のあるゴールデンのサイトを見つけたことがある。この薬がとても高価で、アルの体重でもひと月数万円になるだろうというもの。(そのゴールデンならば月に12万円相当か。)
CTとMRI検査結果は?
結果は、「アジソン病と特定できない、でも、否定もできない」ということだった。確かにアルはアジソン病ではないことは最初からわかっている。


血液検査の数値というものは、検査機関によって、数値のレベルというか範囲のようなものが異なるらしく、数字だけを見て、高いとか低いとはいえないのだそうだ。

椎間板ヘルニアではない
検査の後の説明では、最初の医者の同席のもと、別の医者が説明した。「背骨、椎間板に異常は見られない。椎間板ヘルニアではない。内臓に腫瘍などのすぐに手術しなければならないような異常もない。こうして画像を見る限りは健康体。血液検査の結果では、アジソン病を疑うような低い数値は出ていてグレーゾーンであるが、アジソン病と特定できない。胃腸の炎症の可能性も捨てきれないので、アジソン病かどうかを調べる前に、胃腸に炎症があるかどうかを内視鏡検査する方がいいのではないか」、と。

胃腸の検査とは:
内視鏡検査か、開腹して腸の一部を切り取り病理検査するという生検のどちらか、だそうだ。どちらも恐ろしい・・・。

胃腸が悪ければ、やせるだろうが、アルはやせない。やせたことがない、飼い主に似て。飼い主の直感で、アルの胃腸は悪くない!と断言できる。かかりつけの医者もそう言う。とりあえず、南動物病院は、ヨコイ動物病院と連絡をとってくれるとのことだったので、CTとMRIのフィルムや膨大な画像データをおさめたCD−Rをもらい、税込みで95550円を支払って、帰宅した。(CTとMRIで71000円、税別。血液検査11000円、税別。)

医者だから、最先端機械だからなにもかもがわかるというものでもあるまい。もちろん、病名がわかったとしても、すべて治すことができるはずもない。わかっていることよりも、未知のことの方が多い。白黒はっきりしていることよりも、はっきりしない灰色の方が世の中には多い。はっきりしない世界の中で、折り合いをつけて、良かったり悪かったりしながらやり過ごしていくのが生きるということだ。

下垂体由来の二次性副腎皮質機能低下症
CTとMRI検査を受けた翌日、フィルムや画像データや血液検査の結果表を持ち、アルを連れて、いつものヨコイ動物病院へ行った。ちょうど南動物病院から電話で説明を聞いた、とのことで、よりはっきりといろいろな話を聞くことができた。内臓に腫瘍はない、しかし、肝心の副腎は、とてもとても小さくなっていたそうだ。廃用性萎縮、というやつか。そして、脳下垂体ははっきりと確認できなかったそうだ。つまり、腫瘍とか萎縮とかがわからない、ということだ。

確定できない灰色の世界

「脳下垂体が原因の二次性の副腎皮質機能低下症である、と、断言できるかと言うと、できない」、とかかりつけの先生は言う。断言するためには、アルの死後、アルの脳を見なければならない。

先生は、「僕がもっと早く見つけていれば」と気にするが、それは違う、と思う。逆に先生の対応が、アルにとってベストの対応だったと思う。去年の5月、左後ろ足を引きずり始めた時に、「椎間板ヘルニアですね、ステロイドを処方しましょう」と、誰もが下すのと同じ当然の診断を下して、ごく普通に使われていたステロイドを処方していれば、「足の状態はこれほど悪化せずに済んだかもしれない」と先生は言う。

「しかし、足が良くなりましたね、と、そこでステロイドを中止したら、副腎がとっくにステロイドを作り出せなくなっていたから、急にステロイド不足になって、急性のアジソン病のような症状を発症して、あっという間に死んでいたかもしれないんでしょ」、というと、「その通りなんですよ、アルちゃんはとっくに死んでいたかもしれない」と。

しかし、私の母が皮膚科で処方された痒み止めのステロイドの軟膏でひどい皮膚炎を起こし、体中が腫れあがり、死ぬ思いをしたのを見ているから、私は大のステロイド嫌い。それが幸いしたのかもしれない。体の中で作られているはずのステロイドを、治療のために安易に投与するのは納得できなかったのだ。

アルにとっては、歩けないことより、食べられないことの方が悲劇、と、私は思う。犬はいつだって、「おなかいっぱい食べたい!」と思っているのではないだろうか。食べることが生きることではないだろうか。

アルがなぜこうなったのか、わからない。「機能低下症」というのは、病名ではないのだ。単なる症状名なのだ。「コーギーに多いような気がするなぁ・・・」と先生も言う。私もそう感じる。副腎はストレスに弱い臓器だから、よく言われるようにストレスが原因だとしたら、コーギーの性格、つまり、「いやなことはイヤッ、好きなことは好きっ」という性格は、ストレスを受けやすいのだから、コーギーに多いような気がするというのは当たっているかもしれない。

これから私たちができることは・・・

アルの後ろ足がここまで麻痺していきながら、食欲不振・嘔吐・下痢の症状を繰り返しながらも、なぜ生きてこれたのか。「糖質コルチコイドだけが出ていないから・・・、萎縮していく副腎や脳下垂体から、ごくわずかながらもホルモンが出ていたから・・・」と考えられるそうだ。ホラね☆ アルはとっても幸運なワンコなのだ。結果的に、アルは最良の治療を受けて生きている。これからは、新しい激しい症状が出ないように、注意深く見守っていこう。

アルが、「おいしく食べて、普通にウンチしてオシッコして、気分よく暮らす」ということが最大の目標だ。平成18年1月31日から1日1粒摂取していた、ステロイドの小さな錠剤、プレドニンを、2月14日からは1日おきに1粒にして、もしも食欲不振や嘔吐・下痢などの異常があったらすぐに病院、という方針が決まった。1年前の今頃は、気楽に「目指せ、18歳のお達者コーギー!」と思っていたが、これからは、一日一日大事にして、まずは、「目指せ、12歳の誕生日!」だね、アル。

後ろ足の麻痺が進行して、排泄にも障害が出る可能性がある。だから、それを防ぐには、マッサージが有効らしい。歩行車のヤマペットさん伝授のツボマッサージや、後ろ足を引っ張ったりねじったりのマッサージを強化しよう。「アル、アンタは椎間板ヘルニアじゃないんだからねっ、もうバレてるんだからねっ。嫌がったって、押さえつけてでもマッサージするからねっ」、ってことで、ネーチャン、頑張るぞ。

DM(変性性脊髄症)
(2013年8月更新)

副腎皮質機能低下症
・・・でもなかった。

変性性脊髄症

岐阜大学動物病院のHPに、詳しくのっている。

アルの闘病中、名古屋近辺で、進んだ医療機器を持っていたのは、この岐阜大学動物病院と三重県伊賀市の南動物病院だったと思う。当時はまだDMについては何もわかっていなかった。現在も、病名(あるいは症状名)はわかっているものの、治すための治療法はまだ見つかっていない。また、今現在でも、DMのことを知らない獣医はけっこういる、と実感している。

岐阜大学動物病院のHPの画像は、まるでアルそっくりだ。アルはまちがいなくDMだったと確信する。

DM、変性性脊髄症とはどんな病気か

DMは、痛みを伴わず、ゆっくりと進行する脊髄の病気。ジャーマンシェパードに多いとされるが、近年ウェルシュコーギーでの発生頻度が高く、日本でも、コーギーでの発生は確実に増えている。

DMの症状

(1)後ろ足をすって歩く。

アルは子犬の頃から特に前足をすって歩く癖があったが、これはDMとは関係ないと思う。コーギーの場合症状は10歳くらいから現れるというが、アルも9歳半ごろからから症状が出てきた。コーギー=胴長=椎間板ヘルニア、と診断されることが多い。レントゲンで椎間板ヘルニアが認められなくても、「椎間板のここんところが怪しいんじゃないか?」と無理やりに結論付けられることもある、と、経験上言える。


(2)腰のふらつきや後ろ足の交差

後ろ足をすって歩くようになると、同時に、腰のふらつき、後ろ足の交差も見られる。足指をカンシでつまんでも感じないので、感覚が麻痺しているとわかる。この時点で、「椎間板ヘルニアですね」なんて言われるのである。痛がらない椎間板ヘルニアってあるのかな?と思いながらも、痛くないのならラッキー?と納得したり・・・。

(3)うさぎ跳び

後ろ足をそろえて、うさぎ跳びのように走る。これも「椎間板ヘルニアの特徴ですね」、というのが数年前までの獣医の診断根拠のひとつだ。後ろ足をする、ふらつく、後ろ足の交差、うさぎ跳び・・・このあたりはほぼ同時期に一気にやってくる。半年ぐらいは、ステロイドの錠剤などを処方されながら、その状態が続くが、ついに下半身をひきずるようになる。

(4)前足も弱る

後ろ足が動かないので、散歩ではバスタオルで吊り上げたり、歩行補助車を使うことになる。しかし、前足の筋肉も弱ってきて、歩行補助車が使えなくなるまで約1年、というところだろう。お散歩は台車やカート利用が必要になる。

歩けなくなると、排泄が困難となり介助が必要になる。このあたりで、安楽死を考える場合も海外では多いようだ。

半年ほどは、上半身をすっくと持ち上げて台車にのっているが、次第に伏せの状態になり、それもできないほどに弱ってくると、横に寝たような状態になる。毛布などで支えて身を起こした状態で台車お散歩する日々が始まる。

前足が弱り始めた頃、アルは声が出なくなった。喉の筋肉も弱ったのだろう。しかし、食欲は旺盛、食事にはなんの不自由もない。まだまだ自力で食べる事ができる。

(5)呼吸困難

一般的に、後ろ足を引きずり始めて3年くらいで呼吸障害が現れるという。
呼吸が荒くなる前に、上半身の筋肉がごっそり落ちてしまう。ふさふさの被毛で覆われてはいるが、この頃には全身の筋肉が落ち、骨盤やあばら骨が浮いている。寝ているのも痛く、重くだるいものだろうと想像できる。マッサージや被毛の手入れを喜んでいた。こうなっても、それでも顔はかわいいままだ。自力で食べる事ができるし、笑顔も見せるのだ。アルは、最期の日の数日前から舌の裏側の血管が腫れ上がり、自力で水を飲むのが困難になってきた。そして、突然に呼吸困難となってから2~3時間後に、逝ってしまった。

アルの闘病は約4年間だった。

急性すい炎
(2007年10月更新)
突然の発症

経過
2007年10月1日月曜日、突然の食欲ゼロ、水も飲まない。すぐに病院に連れて行き、「皮下への点滴、いつもの注射」を受ける。3日間ほど点滴に通う、ということで連れ帰る。これでいつもなら、食欲が戻るのだが、今回は食欲が戻らない。夕方、少し水を飲ませたら、嘔吐。前日夕食に食べたものが、まったく未消化な状態で出てくる。

10月2日火曜日、「食欲ゼロ、嘔吐」に加え、「息苦しそうな様子」を重視したかかりつけの医者が、血液検査を行う。脂肪を分解する酵素「リパーゼ」の数値が異常に高いので、「急性すい炎」と確定。即、入院。治療法は、吐いてから3日間の絶飲絶食、血管への24時間の薬剤点滴3日間。

10月5日午後7時、アル退院。生還。

急性すい炎とは
すい臓から分泌される消化酵素は本来は十二指腸に分泌されて、食物を消化吸収する。しかし、この消化酵素がすい臓内で活性化しすい臓組織を消化し始めてしまうことに始まり、多臓器不全や重篤な感染症を引き起こす。肥満の高齢犬に発症が多いとされている。すい臓そのものに原因がある場合は、高脂肪の食事のせいですい臓に炎症を引き起こす。すい臓以外の臓器や組織に問題が生じることで2次的にすい炎が引き起こされることも多いという。また、薬物によってもすい炎は生じるという。かかりつけの先生によると、「はっきり言って原因はわかりません」とのこと。

症状は?
一般的には、進行度によって異なるが、食欲ゼロ、嘔吐、下痢、発熱、激しい腹痛。

これもあとから思えば・・・であるが、突然の発症の半月ほど前から、アルの息遣いが浅く、荒く、とても息苦しそうだった。よだれもひどかった。「残暑で暑いからか?」と思うには少々病的な状態で、通院のたびに先生に訴えてはいたが、先生も私も、それが「発熱かも?」とは思いもしなかった。なにぶん、その半月間は食欲は旺盛であったので。

急性すい炎もまた胃腸の病気のふりをする。結局、診断がつかないまま、あっという間に急変して死亡という例も多いそうだ。かかりつけの動物病院の先生の経験では、治療は最初の3日間が勝負で、生還率は5分5分。入院中も、「下痢、それも血便が出ると危険」と先生は厳しい表情だった。予後もあまりよくない、というやっかいな病気だそうだ。

すい臓をいたわる食生活とは、ドカ食いしない、高タンパク低脂肪の食事を一日に何度にも分けて取ること。肥満を解消すること。

ネットで検索すると、「副腎皮質機能低下症」にかかっていた犬が、1年後に「急性すい炎」を発症して死亡した例があった。他にも、「膀胱炎」⇒「後ろ足引きずり」⇒「急性すい炎」の経過をたどり、急性すい炎で急変して死亡したコーギー(アルのお友だちワンコの太郎君)もいる。

足腰のための工夫
(2005年11月更新)

滑る床から滑りにくい床へ
フローリングにカーペットを敷く。これは基本。カーペットを敷けない部分には、「わんわんスベラン」というコーティングタイプのワックス剤を塗った。これがなかなかのもので、見た目も光沢があって美しいし、滑りにくく、こぼれた水もしみこみにくい。下手なカーペットよりも滑りにくいと思う。

段差の解消
つまづかないようにバリアフリー化というのではなく、玄関の段差(合計31センチ)を飛び上がれなくなったワンコのために、ステップを作った。12センチと19センチの段差からなる我が家の玄関、アルは、12センチの段差はなんとか這い上がるが、下段の19センチの段差を超えることができない。・・・アルの足の長さは15センチしかないのだ。

そこで、玄関に厚さ10センチの発泡スチロールの板(45×45センチを2枚)を置き、ステップにした。あがる時はもちろん、降りる時も、ステップを利用し、ドコンドコンと降りて(落ちて?)いる。最初はステップをいやがり、降りる時はわざわざステップのないところへ行って、19センチの段差を落下していたが、どうやらようやく親心に気づいてくれたようだ。


ワンコは、ジャンプすると着地する前足に衝撃がかかる。そのたびに、背骨全体に衝撃が加わり、その結果、腰だけに障害が出やすい人間と違って、全身に障害が出て、麻痺が出るなどの重篤な状態になるのだという。

かかりつけの獣医さんは、毎週の診察のたびに、「オシッコやウンチは大丈夫ですか?」と聞く。つまり、麻痺は足にだけでなく、身体内部にまで及ぶのだろう。できるだけ、滑りやすい場所でのジャンプ(階段の上がり降りを含む)をさせないのが、ワンコのためだ。

サプリメント
足腰や関節といえば、グルコサミンか。グルコサミンとかコンドロイチンとか緑イガイとか、よさそうなものは、とりあえず集中的に試してみた。今も継続中だ。悪い効果は出ていない、と思う。・・・ワンコのためのサプリメントというよりは、私の安心のためのサプリメントなのかもしれないが。

(ただし、2005年11月末頃から、アルはすべてのサプリメントを嫌がり食べなくなったので、中止した。)

足腰の筋肉の鍛錬法
ネットで見つけた方法で、アルに対して実践し始めたばかりであって、まだ効果を確認できる段階には至っていないのだが・・・。ただ、寝てばかりいると体はこわばり、起きた時にあちこち痛くなっている、動き始めがちょっと辛い、という自分の状況から考えて、アルも同じだろうから、寝た状態で起きる前に足を動かしてやることにしている。美容体操の「自転車こぎ運動」である。仰向けになったワンコの後ろ足を、ゆっくり軽く、グルグルと動かしてやる。

もうひとつは、立つ、ということ。寝たり横座りしてるよりも、立つ、ということは筋肉の鍛錬になる。食事の時は、四肢を踏ん張って立たせる。(ふらついて倒れないように、腰を軽く支える。)機会を見つけて、5分ほど、しっかり踏ん張って立たせる。これだけでも、ずいぶん効果が出る、と、どこかのサイトで見たので、それを信じて始めたところだ。

大好きなドライブのために

父の車の助手席はアルの専用席。立ちかかって車窓の風景を楽しむことができなくなったアルのために、座布団をしいて、シートの位置を高くした。「低反発マットレス」という足腰によさそうなマットレスをアル用に購入していたのだが、ぐんにゃりと沈み込む感じがアルに嫌われたらしく、無用の長物となっていたのを、助手席のシートカバーの下に敷いて、アルの座布団として転用した。シートカバーは、汚れや抜け毛をふき取りやすく、防水機能付きのワンコ仕様。


介護の工夫
(2007年11月更新)

足の保護用靴下
歩行車(車椅子)
足枕
床ずれ防止の工夫
排泄の介助

後ろ足ズリズリの時期

靴下導入


後ろ足を引きずるようになると、爪が磨り減る。毛も擦り切れる。「爪切りしなくていいから楽だわ〜」なんて喜んでいられるのは、ほんの数日で、すぐに血がにじみ始める。ばい菌でも入ったら大変なことになるから、即対応しなければならない。






「サイズ12センチくらいの幼児用の靴下」をたっぷり購入。赤ちゃん用の靴下が足の裏のサイズはピッタリだが、靴下を留める場所がなくてすぐに脱げ落ちてしまうから、それより少し大きい幼児用の靴下を履かせる。つま先は当て布をして補強すること。補強しなければ、10メートル歩かないうちに穴があく。補強用のあて布は、タオル、古Tシャツ、フェルト布などいろいろ試した。分厚く補強しすぎると、重くなりすぎて脱げ落ちる原因になるので、ほどほどが良い。常に、10足くらい補強済みのを準備しておくと安心だ。






靴下が脱げる・・・ゴムで留める。パンツのゴムを輪にして留めるのだが、足の裏のすぐ上の1ヶ所だけではすぐに脱げる。もう1ヶ所、その上のでっぱり、つまりカカトの上で留める。後ろ足ならばこれでいい、・・・それでも脱げるときには脱げる。ゴムの長さは各自試行錯誤のこと。

さて、前足の場合はゴムで留めることができない。アルの場合、靴下をゴム紐でつなげて、その紐を背中に回して胴輪にくくりつけた。



「爪磨り減り出血」の部分に前足も後ろ足にも靴下を履かせた画像をのせた。




歩行車導入

歩行車は、軽量アルミパイプ製の軽いものがよい。車輪はできるだけ良いものがいい。軽い歩行車ならば、たいていの犬はすぐに慣れてお散歩を楽しむ。体に沿ったパイプが地面と平行になるように調整し、オヤツでつってお散歩させよう。




前足もサポートするために

ほとんどの犬は、2輪歩行車で後ろ足をサポートしてやれば、ひとりでお散歩できる。
しかし、アルのように、腹筋から背中の筋肉、前足と徐々に全身が衰えていくと、画像のように、歩行車を自力で動かすことができなくなる。体に沿った縦パイプを前足近くまで長くすれば、少しの間は対応できるが、衰えとともにやはり自力では不可能となる。






そこで、腹ベルトを幅広にし、犬が上半身をぐったりと腹ベルトに預けることができるように改良。マジックテープとウエットスーツなどに使われるネオプレンのシートを利用した。さらに、長くした縦パイプにリードをひっかけ、縦パイプが地面と平行になるように持ち上げる。・・・重い。しかし、持ち上げなければ、アルの背骨と前足にひどく負担がかかる・・・。








ここで重さに耐え切れず、4輪歩行車を導入したが、結果的には失敗だった。だってホラ・・・まるでジャイアントロボ・・・。

軽量アルミパイプ製の2輪歩行車の重さが2キロちょっとだったのに対して、この4輪歩行車は6キロちょっとの重量。前足も弱った犬に、自分の体重の半分ほどもある重さの歩行車を操れるはずがない。

さっさとこの4輪歩行車の利用をあきらめて、ほぼ寝たきり老犬用にとっての究極のお散歩車に切り替えた。





ホームセンターで購入できる台車、である。胴長コーギーには10センチほど短かったので、お風呂の滑り止めのマットを、台車の天板より10センチ長い大きさに切ったものを2枚準備する。お風呂マット+頑丈なダンボールの板+お風呂マット、これをマジックテープや幅広ゴムテープで台車に縛り付ける。さらに、その上に、裏に滑り止めのついた敷物+フワフワのクッション(手作り)+ペットシーツ、これでよその犬たちもうらやむ(?)お散歩台車の完成。







いつもきれいに。
前足を洗ってやりたい時、片方の前足で体を起こしていられないほどに筋力が衰えてしまった場合、こうして丸めた毛布に身を預けてもらう。古毛布は便利だ。一枚の古毛布を4分割して切って、寝床にクッションにといろいろに使える。バスタオルや古シーツなども取っておくとよい。

寝ている時間が増えた老犬にこそ、手入れは必要だ。目やに、耳垢、ブラッシング、爪切り、足の裏の毛のカット、肛門回りの毛のカット、体力を奪うシャンプーは避けてドライシャンプー、などなど、話しかけながら手入れして、いつもきれいにしていれば、犬自身の表情もいつも明るい。





快適な眠りのために

まず、足枕。
すっかりやせ細った後ろ足は、まるで骨と毛皮。後ろ足の間には、バスタオルを丸めたものをはさんだり、ぬいぐるみのオモチャ(団子のオモチャ)をはさんだり、また、エアパッキン(プチプチ)を筒状に丸めてキネシオテープで巻いたものなどを、足枕として利用。エアパッキンとキネシオテープの足枕は、軽くて滑らないから便利だ。

床ずれを防ぐために。
アルが自力で寝返りが打てなくなったのは2007年3月。床ずれしないように、夜中もできるだけ3時間おきに、体の向きを変えてやるようにしている。もちろん、夜中には私がすっかり眠ってしまって、5時間6時間とほったらかしの場合も時々はある。

床ずれ防止のドーナツ型の枕などが市販されているが、体に合わなければ、別の場所に床ずれができるとも聞く。床ずれは一日でもできる時はできるらしいし、床ずれができてしまったら、なかなか治らないそうだ。できないように努力工夫する方が気楽だ。

ムートンのシーツが一番いいらしい。通販「ポチの幸せ」で買った医療用ムートンシーツを使っているが、へたらないし、洗える。通販「PEPPY NET」の蒸れないハニカムクッションマットを2枚重ねした上にムートンシーツを敷き、お尻の下にペットシーツを敷いて寝かせている。

ビーチマットも空気をパンパンに入れずに、少しだけ空気を抜いてあたりをやわらかくすると、老犬の介護に最適なエアマットとして使える。




快適な排泄のために

自力で立てなくなって困るのが排泄だ。立てないが、前輪駆動でズリズリと動くことができる・・・という時が一番困る。アルは、地面を引っかくがごとくに、敷き詰めたペットシーツをかき寄せ、バラバラにしてしまうのだった。それに、犬は寝床を汚すのを嫌がるので、我慢する⇒膀胱炎になる、オシッコしたいけど汚したくない⇒飼い主に八つ当たり、という悪循環。

アルを抱っこした時に、アルがオシッコしてしまったことがきっかけで、「子どもにシーシーさせる時みたいに、だっこして排泄させればいいではないか!」とようやくひらめいたのが、アルが急性すい炎の入院加療から退院した頃。この頃には、アルは尿意を催さないのか、排泄するための腹筋などが弱ってしまって自力で排泄できないのか、丸一日でもオシッコしなくなっていた。

タライにペットシーツを敷き、その上で犬を抱っこする。下腹部を圧迫するように抱いて、「オシッコしようね」と待っていると、しばらくして何度かに分けて気持ち良さそうにオシッコしてくれる。この方法にもっと早く気付けば、膀胱炎を起こさせずに済んだかもしれない。

犬用のオムツも市販されているが、認知症で徘徊する犬にはオムツは使えると思うが、寝たきりの犬にはペットシーツでじゅうぶんだ。それに、意識がはっきりしている犬がオムツをつけたがるはずがないから、アルにはオムツを使おうと思ったこともない。

なかなかオシッコが出ない時
尿が出ないのは危険なので病院に行かなければならない。しかし、病院が休みの日に、丸一日でもオシッコしない時は自分でなんとかしなければならない。いろいろやってみたが一番効果的と思えるのが、体を温めてやることだ。電子レンジでチンした蒸しタオルをビニール袋に入れて(こうすると被毛が濡れない)、腰やわき腹やおなかなどに当ててやる。右わき腹を蒸しタオルで温めると、肝臓の血行が良くなって酔いがさめやすくなる、というのをテレビでみたのを思い出し、右わき腹に蒸しタオルを当ててやったら、かなり気持ち良さそうにしていて、それからタライのトイレの上で抱えてやったら、勢いよくオシッコした。


排便の介助
排便については、今のところ苦労していない。寝たきりで下痢や軟便だと、体が汚れて始末に苦労するだろうが、アルのウンチはペットシーツをほとんど汚さない上出来のウンチだ。しかし、時には丸一日出ないこともある。

便秘しない食事の工夫
手作り食にオカラを大さじ1杯ほど混ぜる。あるいは、小麦胚芽や小麦ふすまを大さじ1杯ほど混ぜる。水分をじゅうぶんに取らせるようにする。アルはあまり水を飲もうとしないので、ウンチが固くなってしまうことも多い。手作り食に鶏のゆで汁を大さじ2杯ほどかけてやる。また、喜んで飲むようにと、水に牛乳やヨーグルトを混ぜたものを飲ませている。

自力で排便しなくなった時の方法
2007年11月下旬頃から、アルはほっとくと何日か排便しなくなってきた。おなかをマッサージしたり、蒸しタオルで温めたり、いろいろ試みたけれど、いずれもさほど即効性があるわけではない。人間の便秘解消法と同じく、食事の工夫をするのは大事だが、さらにウンチをさせる方法が必要になった。赤ちゃん犬に排便させる時、母犬がなめて刺激してやる、というのを読んだことを思い出し、濡らした綿棒で肛門回りをコチョコチョと刺激してやった。綿棒でなくてもタオルやティッシュでも同じだ。するとまもなく立派なウンチが出てくる。12月になってからは、毎日この方法で排便させている。

肛門回りの被毛を、バリカンでカットしておくと、お手入れが楽になる。直径2~3センチ程度を刈りあげれば、じゅうぶんだ。

悪性リンパ腫
(2013年8月更新)

ただ、あまりにも
・・・若すぎた
ジェリーの場合

統計上、日本人のふたりにひとりはガンにかかる。3人か4人にひとりはガンで死ぬ。そして、人間の場合、悪性リンパ腫というのは、「70歳過ぎの女性がかかるが、抗がん治療で完治することもあり、10年近く生きる」というイメージがある。

犬の1年は人の7年である。すると人の10年は・・・犬の1年ちょっと?

悪性リンパ腫は犬のガンの大半をしめるのだとか。しこりが出現しないタイプの悪性リンパ腫もあり、食欲不振という形で現れ、少し様子を見ているうちに、半月もしないうちに亡くなってしまうケースもある。むしろ、何がなんだかわからないうちに急に死んでしまったのなら、それが若い犬なら、悪性リンパ腫だったのかもしれない。

ジェリーは2歳10ケ月で告知され、22回の抗がん剤治療と山ほどのステロイド錠剤を投与されたが、1年4ヵ月後、4歳2ヶ月で逝ってしまった。

発症

気づいたきっかけはあご下のグリグリ。何かに触れる?と気づいてから2週間後には3個になっていた。
実は何かに触れる?と感じていた頃、時折、「カーッ」と咳をするような様子もあった。風邪引いたのだろうか?と思っていた。風邪引いてリンパが腫れる、ということは人間にはよくあることだ。

腫瘍専門医に診せたら、B型ハイグレードステージVの悪性リンパ腫、何もしなければ2〜3週間、と告知された。

抗がん治療

何もしなければひと月持たず、ステロイド投与だけだと2ヶ月、抗がん剤治療ならうまくすると1年、あるいは2年、と言われて、迷わず抗がん剤投与を選択した。

まずステロイド大量投与

生検で悪性リンパ腫確定するまでの数日間で、しこりが急成長し、呼吸困難にならないように、ステロイド大量投与。ステロイドは劇的に効いて、しこり消滅。この後、5月の再燃疑いまで、しこりは出現していない。

通院履歴
(  )内の数字は、ステロイド以外のいわゆる抗がん剤の投与回数である。

2011年11月3日・・・・・悪性リンパ腫疑い、ステロイド錠剤(プレドニン)大量処方。
2011年11月7日・・・・・(1)ビンクリスチン***悪性リンパ腫確定、抗がん治療開始。他に、セファランチン、プリンペラン、プレドニン。
2011年11月12日・・・・・(2)エンドキサン(錠剤)。他に、セファランチン、プリンペラン、プレドニン。
2011年11月24日・・・・・(3)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プレドニン。
2011年12月3日・・・・・(4)ドキソルビシン。他に、セファランチン、プリンペラン、プレドニン。
2011年12月10日・・・・・検査のみ。セファランチンのみ処方。
2011年12月19日・・・・・(5)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2011年12月27日・・・・・(6)エンドキサン(錠剤)。他に、セファランチン。
2012年1月7日・・・・・(7)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年1月14日・・・・・(8)ドキソルビシン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年1月30日・・・・・(9)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。***前足に神経異常、一日だけびっこをひく。
2012年2月10日・・・・・(10)エンドキサン(錠剤)他に、セファランチン。
2012年3月2日・・・・・(11)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2013年3月22日・・・・・検査のみ***完全寛解とのこと。
2013年4月28日・・・・・検査のみ
2012年5月26日・・・・・ステロイド錠剤大量処方。プレドニン、プリンペラン。***歯肉炎か?再燃か?念のためステロイド投与。しこり消滅。この後、9月までしこりは消えていた。
2012年5月29日・・・・・(12)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年6月3日・・・・・(13)エンドキサン(錠剤)。他に、セファランチン。
2012年6月23日・・・・・(14)ドキソルビシン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年7月29日・・・・・(15)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年8月4日・・・・・プレドニン、シンクル。***後ろ足付け根にブツブツ、かゆがるので通院。
2012年8月19日・・・・・(16)エンドキサン(錠剤)。セファランチン、プリンペラン。
2012年9月1日・・・・・プレドニン、シンクル。***足の裏がただれてかゆそうだったので通院。
2012年9月7日・・・・・プレドニン、シンクル。***9月1日と同じ。
2012年9月15日・・・・・(17)ビンクリスチン。他に、セファランチン、プリンペラン。
2012年9月29日・・・・・(18)L−アスパラギナーゼ。他に、プレドニン。***27日にしこり出現。ビンクリスチンは効かなくなった。
2012年10月6日・・・・・(19)ドキソルビシン。他に、セファランチン、プリンペラン。***L−アスパラギナーゼでしこりは消えていた。
2012年10月27日・・・・・(20)フルダラビン(錠剤)。他に、セファランチン。
2012年11月8日・・・・・プレドニン。ステロイド錠剤大量処方。フルダラビンは効かない様子、ステロイドでしこり消滅作戦。
2012年11月24日・・・・・(21)ロムスチン(錠剤)。他に、プレドニン、セファランチン。***あご下のしこり、消えていない。つまり、フルダラビン効かない。
2012年12月1日・・・・・検査のみ***しこり、消えない。ロムスチンも効かない予感。ステロイドももう効かない。
2012年12月8日・・・・・検査のみ。白血球数改善のため、セファランチン処方。***ロムスチン、効いていない。
2012年12月15日・・・・・(22)ドキソルビシン。他に、セファランチン、プリンペラン。***ドキソルビシンも効かなくなった。腫瘍専門医への通院はこれで最後となった。
2012年12月26日・・・・・口内ケア専門を謳う病院で口内ケアを断られる。「何をしてもムダですよ、あと1〜2ヶ月ですよ」、と。
2013年2月24日・・・・・鍼灸治療(緩和治療として)。鍼灸を施す獣医に往診してもらった。
2013年3月1日・・・・・ステロイド注射と点滴(緩和治療として)。長年つきあいのある地元の獣医に依頼。
2013年3月2日・・・・・鍼灸治療(緩和治療として)。往診してもらった。
2013年3月8日・・・・・ステロイド注射と点滴(緩和治療として)。かかりつけ獣医にて。

2013年3月19日・・・・・Jerry passed away.

悪性リンパ腫、進行のイメージ
ステージVレベルなら、最初の抗がん剤で一気にしこりが消える。抗がん剤が目新しいうちは、しこりは出てもすぐに消える。完全寛解する。

しかし、必ず再燃し、再燃したら今度は、しこりはなかなか消えない。あっという間に、抗がん剤がことごとく効かなくなる。

ジェリーの場合、全身のリンパ節のしこりはあっという間に消え、再燃は7ヵ月後の翌年5月末。2ヶ月間は、薬はいっさい使わずに過ごしている。3ヶ月間薬なしでしこりが出現しなければ「論文を書きます!」と医師は言っていた。悪性リンパ腫は、そういうものなのだ。そして、今度は4ヶ月間、9月までは抗がん剤が効いているが、9月の末からは、抗がん剤でしこりが消えているのは1週間、あるいは効かない、という状態になってきた。再燃後の加速度は急激だ。

「抗がん剤が効く」ということの意味
抗がん剤が効く、ということは、ガンが治る、ということではなさそうだ。ガンを抑える、しこりを一時的に消す、というだけのことだ。しこりが消えても、ガンが治ったということではない。しこりが消えた、と、喜んでいたが、それは私が無知で、甘かったというだけのことだ。

レスキュー治療
ビンクリスチン、エンドキサン、ドキソルビシン、ステロイドが効かなくなると、レスキュー抗がん剤を使うことになるらしい。

一般的な治療計画に使われるこれらの薬が効かなくなるというのは、かなりへこむ状況である。レスキューの薬を使って、必ず効果があるかというと、遣ってみなければわからない。普通に考えてわかることだが、レスキューしかない状況というのは、かなり深刻であり、患者の体はすでに薬とガン両者に痛めつけられていると思う。

L−アスパラギナーゼ、ロムスチンなどがレスキューの薬として使われる。L−アスパラギナーゼはよく効く、そしてちょっとばかり高価である。よく効く、と言っても、しこりを消すだけであって、ガンを消すわけではない。必ず効かなくなる時もくる。アナフィラキシーショックの恐れもあり、L−アスパラギナーゼ単独で繰り返しの効く治療ではないので、通常は単独使用されない。しかし、「それだけを毎週打って、2年生きた例がある!」と励まされて(?)しまう飼い主もいることだろう。


副作用
化学兵器を開発していて、たまたま、ガン細胞が縮んでいるのを発見し、抗がん剤ができたのだそうだ。抗がん剤の目的は、しこりを小さくすることだ。薬が強ければ、完治率は高まるが、副作用も大きくなる。ガン細胞が死んで、血液中にその死骸、というか、リンやカリウムなどが大量に出て血液成分が異常になる。素人が考えても、数日間は全身に違和感があると想像できる。副作用を緩和するために、また別の薬剤を処方される。

嘔吐、下痢、食欲不振、発熱、脱毛、など、副作用が軽かったジェリーでも、抗がん剤のあと3日間は耐えている様子だった。

「そんなことめったにありません」と言われたが、ビンクリスチンで前足の神経に異常をきたして、一時的に爬行した。


しこりはすべてガンか?
ガンは「癌」と書く。つまり、岩のように硬い腫れ物である。では、硬いしこりすべてが癌かというと、風邪やケガで単にリンパが腫れているだけということもある。リンパが腫れるような状態が体の中で続くと、それがガン化することもあるだろう。歯肉炎、膀胱炎、体で起きるさまざまな炎症はバカにできない。

ジェリーの最後の日々、喉が大きく腫れた。あのブヨブヨの腫れはガンではない。

口内ケアは重要だ。歯肉炎は万病の元、とは決して言い過ぎではないと思う。歯肉炎が、ジェリーの闘病の邪魔をした、ジェリーの抵抗力をずいぶん奪った、ジェリーの免疫力を無駄遣いさせた、と思っている。


ALPの数値
闘病中、ジェリーのALPの数値が急上昇と急降下を繰り返した。医者は食事のせいだと信じていたようだが、違うと思う。たとえば、年単位でなく、たかだか1週間や2週間、ササミ肉を毎日1本ずつ食べたとしても、それで病気になるだろうか? ALPの急上昇は、胆のうの異常をあらわす。すい臓や胆のうが炎症を起こすと、数値が上昇するらしい。炎症・・・何が炎症の原因だったのだろう。ササミやチーズではあるまい。

悪性リンパ腫の原因
原因不明。しかし、告知の1年ほど前に、ジェリーはわずかに体調不良を見せている。重症化せずに短期間で体調は戻っている。当時、2歳になるかならぬかの若くて強い元気なジェリー、もともと食にムラがあり、ウンチがゆるかったジェリー。あとから思えばであるが・・・、この時、体内のどこかで炎症が起き、以後、体は炎症と戦い続け、炎症はついにガン化したのではないだろうか。