『怒涛の鯨のタタキ』
2005年3月の日記



今年のスギ花粉飛散量は、
非常に少なかった去年の10倍から30倍と言われ・・・
異常気象と大気汚染の影響をわが身で証明。

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2005/3/1(火)
セルフ・メディケーション
「本日も晴天なり」
「本日、アタシ、お休みしますっ」
「せるふ・めでぃけーしょん、です」


セルフ・メディケーション、・・・医者にかからず自分で治療すること。

アルは、朝、なかなか起きてこなかった。ようやくトイレ散歩に出かけ、草を食べたがった。そして何度か白いアワアワを吐いた。食事をしたがらず、食べなかった。台所に入りたがらない。いつもなら日向ぼっこするのに、日陰にいたがる。胃が重くむかむかするのだろう。

食べすぎじゃ、アル。

アルは偉い! どうすればいいかわかっているから、食べずにひたすら胃を休めているのだ。私も見習おう。コーヒーをしばらくやめよう。お菓子もやめよう。朝食に焼きリンゴや焼きバナナを食べていたけど、それもやめよう。ここひと月ほど、調子に乗って食べ過ぎた・・・。

私は背も肩幅もあり体格が良いせいか、強壮な体質のように見られがちだが、実は低血圧の冷え性で気力にもパワーにも欠けている。用心してここまでやってきた。これからも用心しながら無理をせず、少しずつ粘り強く、強い体に変えて行きたい。




     
2005/3/2(水)
心と体を休めましょう
「さっ、行こうか?」
「散歩は、アタシのお仕事」
「これが終わらなきゃ、ご飯が食べられないし」


今日は、「いち・に・三歩の散歩」だった。

年末の大掃除の時に、もう不要だろうと処分した「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」、先月の司法書士への支払い発生で入用となり、本日、税務署で再発行してもらい、預かり金の支払いも済ませた。12時少し前に支払いをし、おつりを待っている間にお昼のベルが鳴った。

♪お昼休みです。心と体を休めましょう〜♪

ちょっと笑った。でも、思った。お昼休みに用事を済ませようと役所に来ても、相手してくれないんだろうなぁ・・・って。お昼休みに、外で食事したことなんてなかったなぁ・・・って。




     
2005/3/3(木)
ラーメン、お好き?
「交換? ヤダよっ!」
「なめてやるっ、食ってやるっ」
「体によくないものを食ってやるっ」


アルは、菓子パンを包んでいた銀紙(古い表現?)を離さずなめ続ける。

私の国民年金の保険料前納一括の手続きと、任意継続社会保険の保険料1年分一括支払いのため、社会保険事務所に出かけた。

払うものはお金のあるうちにさっさと払ってしまいたい、というのは、貧乏人のサガである。金持ちは、お金を持っていることに慣れていて、その状態が気持ちいいのだろうと想像するが、貧乏人はお金を持っていることに慣れていないのである。だから、お金をパッパと手放そうとするのだ、きっと。私みたいなのが堤一族にいたら良かったのにねぇ。・・・お金よりブツだ。食い物だ。あ、そーだ。米を買っておこう。(10キロ、ね。)米さえあればなんとかなるって、・・・と、これは母の口癖である。

名古屋駅の近くにある社会保険事務所の帰り、一緒に出かけた父が入りたがったので、名古屋駅構内にある「駅麺通り」に入った。全国のラーメンの名店が集まっている。相変わらずの盛況ぶり。札幌みそラーメンを食べてきた。実は、ここに入ったのも初めてなら、ラーメン屋さんでラーメンを食べるというのも、我が人生で数えるほどしかないのだ。ラーメンって不思議・・・。




     
2005/3/4(金)
かかってきなさいっ!
「怖くないよっ、ジムボール!」
「かかってきなさいっ!」


ドッジボールサイズのジムボール。体重200キロまで破裂せずに支えるというジムボール・・・あっけなかった。アルの牙に敗れたり。

弱いものいじめしちゃ、ダメでしょっ、アルっっっ!

考えてみると、今日は、朝のアルの散歩以外、外に出なかった。頭くちゃくちゃになるほど散らかっていたデスク回りを片付けて、少し机に向かっていたら、目が疲れてイヤになった。テレビは、「コクド元会長堤さん」のことばかりやってる。3畳半の拘置所生活の元会長、案外、さっさと自供して、さっさと裁判して、さっさと判決を受け入れて、3年ばかり刑務所に行って、さっさと出所して、また大きな金儲けするのかもしれないなぁ・・・なんて思ったりした。人生には、難しいことなんてないんだよ、きっと。物事は起こるべくして起きて、納まるところに納まるんだもんね。
何があっても、簡単、簡単。かかってきなさーーい、てなもんかもしれない。




     
2005/3/5(土)
安全地帯
「今日はちょっと歩きたい気分」
「道路の向こうへ行きたい気分」
「右見て確認・・・」


わかっているのかいないのか、道路を渡る時は、安全確認をしているかのようなポーズ。

今日の散歩では、前を行く黒ラブとの間合いを測るかのような歩き方、しかし、用を済ませた黒ラブが道路に戻った時、アルと目が合ったか、あるいは、アルがそのスキを狙っていたのか、ガウガウガウーーーッと両者がいがみ合いながらとびかかった!!
「ハーイッ、そこまでーっ!」、両者の間にいた私、右足に黒ラブの鼻、左足にアルの鼻を突き当てられ、両者引き分けの軍配を上げました、とさ。

昼頃、大きな白っぽい犬がトボトボとうちに近づいてきたらしい。知らせを聞いて、ドッグフードをひとつかみして飛び出したが、その犬の姿はもうなかった。今度見つけたら、保護するからね。きれいな水とフードを与えるからね。安全な暖かい寝床を与えるからね。「だいじょうぶだよ、ネンネしていいよ」・・・なでなでするからね。それまで無事でいてよね。




     
2005/3/6(日)
幻の白い犬を探して
「お仕置きなの?」
「遊んでくれてるの?」
「アタシを怒らせようっての?」


これが、先日、アルが成敗したジムボール(小)サイズ。もう少し空気が抜けると、キョンシーの帽子になるねぇ。

今日は昼頃までは気温もなかなか上昇せずとても寒かった。こういう時、運動不足で硬く冷えている私の体は、簡単に腰痛を発生させる・・・。腰痛だからと用心していたら、運動不足に拍車がかかり、腰痛は息苦しいほどに痛さを増す。

そうだ、歩こう!

昨日、うちのあたりに来たらしい大きな白い迷子犬が気になっていたことだし、その子をなんとなく探しながら、強い風の中、40分ほど歩いた。体が温まって腰痛が和らいだ頃、「どこかのやさしい誰かがあの犬に手を差し伸べてくれたんだ」、と、ようやく思い直すことができて、気持ちが落ち着いた。




     
2005/3/7(月)
用心しよう、そうしよう
「なにやつ?」
「まずは観察」
「身を低くしてっ」


すぐ先の道路でガス管工事。重機がのそりと動き始めた。アルが車のタイヤの陰に隠れて、身を低くし、様子を見守っている。・・・野生だわ〜。

今日も2時半頃から45分ほど歩いた。暖かくて、青空で気持ちよかった。帰宅してしばらくしたら、目がしょぼしょぼ、喉が狭まり、かゆい感じ。あれれ? 花粉が飛散してきたか? あぁ・・・、あまりにも無防備だった。あまりにも楽天的だった。あぁ、馬鹿だった。超立体マスクの出番だ・・・。




     
2005/3/8(火)
春の匂い
「お隣の植木鉢・・・」
「春の匂い・・・」


・・・かどうか知りませんが、アルはお隣の玄関先の植木鉢のにおいをかぎ、そのままお隣に入っていってしまう。お隣のネコのキキちゃんの動向をチェックしているのかもしれない。

ワケギをたっぷりもらった。さっとゆでて、イカとカラシ酢味噌で和えた。春の味、満喫。大きなイチゴももらった。森永のコンデンスミルクをつけなくてもいいくらいに、とっても甘い。これまた春の味、満喫。両親によると、家中に新鮮なネギとイチゴの匂いが満ちていたそうだ。・・・今の私は、嗅覚ゼロに近い。

嗅覚が鈍いと生命力の危機なんだそうだ。そりゃそうだ。毒を呼吸しても気づかないんだろうから。頭もはっきりしないし。私みたいな人や、私よりももっと重症の人も多かろう。この時期、日本の生産性は大幅に低下するだろうな。こりゃ、日本の危機だ。




     
2005/3/9(水)
ある晴れた春の日に
「アンタ、誰?」
「・・・近づかんとこ・・・」


アル、相変わらず重いねぇ・・・。なんで離れようとするのよ・・・。もうちょっと嬉しそうな顔、しなさいよ。いつも私が撮影者で、アンタとふたりで一緒に被写体になることなんてめったにないんだからさ。

洗濯物を干す時、この格好ならば安心。午前中に花粉を吸い込まなければ、なんとか快適に1日を過ごせる、今のところ。

この超立体マスクとサングラスで美人度アップ☆ 露出度を減らせば減らすほど、美人になるんだそうだ。その昔、平安朝では、男たちはまだ見ぬ女性に恋焦がれたという。・・・信じられない。それは恋ではなくて、妄想ではないのか? アラブのどこかの国では、女性は、目の部分さえもメッシュの布で覆い、全身を隠すんだそうである。女性の体のほんの一部を見ても、男が理性を失うからなんだそうである。(え? 違ったっけ?)・・・これまた信じられない。




     
2005/3/10(木)
嬉しい時
「ねー、ちょっとちょっとオカーサン」
「オカーサン、嬉しい?」
「アルも嬉しいよ!」
「焼き芋、ちょーだいねっ!」


母とアルはこのようにして焼き芋という幸せを分け合う。胸焼けしない程度に食べてね、アル。

アルは饒舌。アルの表情はとても豊か。アルは繊細にして明るい性格。アルが喜ぶ表情の時、「今、アルは心を開いているんだな」と感じる。アルも多分、「ネーチャンがアタシに心を開いてる」と感じているのだと思う。アルが一番幸せそうな顔をする時は、焼き芋を食べている時ではなく、「アタシとアンタの心が通じたねっ」ってわかった時、だね。

さて、ちょいと用事で出かけて、ついでに、お花畑のイメージのニットを買ってきた。楽しいな〜〜。




     
2005/3/11(金)
雨の金曜日
「今度は何?」
「何を食べてるの?」
「・・・雨の日は、飲まず食わずで寝てなくちゃダメ」


ワンコにとって雨の日の正しい過ごし方は、ひたすら寝て過ごすこと。正しいワンコのアルは、正しく行動しているのだが、自然界の摂理を忘れきった私の行動が、アルの眠りを妨げる。机に向かってメガネをかけて本を読みながらヨーグルトを食べる、と行儀の悪いことをしていたら、寝ていたはずのアルが見ていた。うぅ・・・罪悪感。アルにも一口与えてしまう。

金が欲しいからと人を刺し殺して金を奪う。腹立ち紛れに無関係の人を刺し殺す。包丁を持って、男や女が子どもたちを狙う。生後ひと月にもならぬ孫や愛犬も含め5人と2匹を殺し、ひとりを傷つけ自殺を図る。妻子を殺され放火された男は備品を横流しし多額の金を着服していた。そんなニュースに圧倒されて、雨の金曜日はますます暗い。




     
2005/3/12(土)
ささやかなドライブ
「めずらし〜〜」
「ネーチャンの車から見るいつもの道」
「・・・急ブレーキ、急ハンドル、控えてねっ!」
「アタシ、シートベルトしてないんだからねっ」


いざという時、我が愛車が拗ねたら困るから、せめて週に一度は運転することにしている。車のキーを手にして、アルに見せた。「アル、行こうか?」 すると、アル、張り切って玄関へ。どこへ行こうかと思ったが、2キロ先のスーパーまで。

「お! 柔軟剤のハミングフレアーがお買い得品じゃん☆」と、すかさず5個くらい買おうと思ったら、お一人様2個まで、だって。あらら。うちは今、洗濯物の量が半端じゃないんだから〜、必要なんだから〜、もっと買わせろ〜〜ぉぉぉ。平等なんか嫌いだ〜〜〜ぁ。

車の中でおとなしく待っていたアルをなでなでしてから、ブレーキ音もやかましい我が愛車で楽しく帰宅。




     
2005/3/13(日)
生かすも殺すも包丁次第
朝、目を開けたらめまいがした。基礎体温計をくわえ、目を閉じたら、また寝てしまったようだ。再び目を開けたら、まためまいがした。カーテンが揺れる〜揺れる〜、壁もぐるぐる、天井もぐるぐる。私の目玉も回ってんのかな、揺れてる目玉を見たいな、鏡を見たいぞ〜、と思いつつ目を閉じたら、また寝たようだ。次に目を開けた時も、まだ部屋は回っていた。寝ようと思えば眠れないこともなかったが、なんだか腹ペコで気持ち悪くなってきたので、ゆっくりと起きた。ゆっくりゆっくりとひとりで遅い朝食を取り、昨夜から予定していた通りに換気扇をできるだけ分解して、洗剤液に浸した。換気扇の油汚れをこそげ取るべく金属ヘラを買いに、歩いて3分のスーパーへ向かった。

おお! 関の刃物のおじさんが来ているっ! 包丁研ぎを頼もうっと!

あまりにも切れない包丁に業を煮やして、砥石を買ってきて自分で研いでみたのだが、・・・部分的にますますひどい状態にしてしまった。「ネギが切れないっっ」状態だったのだ。

洋包丁3本、研いでもらった。(他にも古い包丁が5本あったのだが、研げない状態だったので、包丁供養に引き取ってもらった。)包丁のことをいろいろ教えてもらって、試しに使わせてもらった和包丁の軽い切れ味に感動し、「これ、買いますっっ!」 おかげで今日の夕食の支度はストレスなく、実に気分が良かった。換気扇もピカピカだし。

「刺身の角がピィィンと立ってるね」




     
2005/3/14(月)
「想定内」
「アタシの行動の予測、できる?」
「アタシがなんでこの駐車場にいるかわかる?」
「・・・ドライブしたいよ」


うちから目と鼻の先の月極め駐車場に1台分のスペースを借りている。4500円。安いほうでしょ。この駐車場の経営者は、毎月月末の夕方に、一軒一軒に集金に来るのだ。すごいでしょ。・・・危険だよね、今時は。

ところで、この駐車場の隣の空き地、新しく建設中のコンビニの駐車場として整備中だ。コンビニかぁ・・・。場所が悪いと思うけどなぁ、だって、5叉路の角地だよ。その信号の数十メートル先には電車の踏み切り。出入りしにくい場所だと思うけどなぁ。角地が商売に最適な一等地だったのは、車がなかった江戸時代だよ。角地で商売していた東海銀行はUFJ銀行になってしまって、さらにあちこちの支店は、コンビニや駐車場に変身してるよ。2年持つかねぇ・・・と、近所のおじさんたちは心配してるよ。コンビニ経営者はその辺、リサーチ済みなんだろうか? 

画像のアルの後ろ足、ごらんくださいませ。
交差してるでしょ。年のせいか、足腰、弱ってきましてね。左足をずりりぃぃと引きずるんですよ。「おいおいアル、左足、忘れてるよ」てな感じです。その結果、こうして時折、モンローウォーク。




         
2005/3/15(火)
笑顔いっぱいのお祭り:愛知、犬山市、田懸神社の豊年祭り
名古屋市の北、犬山市の田懸(たがた)神社の豊年祭りはちょっと有名。五穀豊穣の神と子宝安産の神を祀るこの神社に、大男茎形(おおおわせがた)を厄男たちが担ぎ込むのだ。

エロい祭りとかいい加減な紹介をされることもあるらしいが、そんなイメージとはほど遠い、ほのぼのとした明るさに満ちた、「いいお祭りだった」、と、今日もまた、カメラを担いで出かけた父が言っていた。(私は行かなかったの。)国府宮のはだか祭りで感じた「ついでに憂さ晴らしだーーーっ!」的な荒っぽさが、ここでは微塵も感じられなかったと言う。

2ヶ所のお宮から、毎年交替で、その大男茎形、つまりでっかいチンポコ型の神輿を繰り出す。行列の先頭を切るのは、この天狗さんたち一行、みんなニコニコしてるでしょ。画像を見たら、やっぱりニコニコしちゃうでしょ。怒ってる人なんかひとりもいないのですって。

天狗さんたちの次に、かわいい巫女さんたちが、ミニチュアサイズ(?)の棒(?)を抱えて続く。途中、「きゃ〜、触らせて〜」の声がかかれば、「はい、どうぞ〜」てな感じで、やっぱりみんなニコニコ。素直に触っているのは女性ばかり。・・・男性には好奇心はないのかしら?

父の撮影した画像を見て感じるのは、この祭りではカメラマンがとっても多い!ということ。

そして、厄男たちに担がれて、この有名な神輿が行く。この祭りの見物客には外国人が多いのが有名。もちろん、女性も多い。見物客たちにお神酒を配りながら行列は進み、盛り上がるのだけれど、馬鹿騒ぎはなく、実にしずしずと和気あいあいと進行するのだそうだ。この神輿の後ろからは、「隠居」の小さな(?)棒(?)も続く。それがまた大うけだったそうだ。

このように大らかな気性を、現代の日本人も持っていると信じたいではないか。陰にこもらず、かといってバカ騒ぎするほど浮かれず、陰と陽が和合した人格を持ちたいではないか。生まれたことを感謝し、生きていることを喜びたいではないか。余裕のない人たちや事件の目立つ昨今、切実にそう思う。




     
2005/3/16(水)
どうでもいいこと
「今日みたいな日は、何度でもお散歩したいね」
「不思議だよね、何度でもオシッコ・ウンチできちゃうよ」


今日は暖かくて、アルでなくてもお出かけには最適の暖かさ。

ジムで運動したかったのだが、出かけなければならなくなった。平日の昼間、名古屋に出かけるとさまざまな光景を見ることになる。地下鉄の切符売り場の前で、70代に見えるおじいさん(という雰囲気の人)が柱のそばで本を眺めている。そこに、20代前半の娘がやってきて、親しげに彼の肩を叩いた。「お待たせ!」

膨らむ好奇心っ。爺と孫娘か?

ふと、似た光景を少し前に見たのを思い出した。肩寄せあって地下鉄を降りる二人連れ。二十歳そこそこに見える娘と、60代に見えるオジサンとの組み合わせ。

違和感・・・仲のいい爺と孫、なんだろな。多分な、きっとな。そんなことより考えなければならないことは山ほどあるんだ。山ほど。




     
2005/3/17(木)
彼岸の入り
「10年前の今頃、」
「アタシはこの家に慣れようといっしょうけんめいだったよ」
「お互い、ぎこちなかったよね」


アルは、10年前の3月11日にうちにやってきた。岐阜の瑞浪の国際犬訓練所からうちまでの間、アルは後部座席で、ぶるぶると震えていた。体重4.5キロの生後5ヶ月目の中幼犬だったね。・・・それがどうです、いまやこの寝姿。さっきまで、うるさいほどに寝言を言って、イビキもかいていた。いったいどんな夢を見ていたのだろうね。

今日は彼岸の入り。春のお墓参りシーズン、と、私は解釈しているのだが、本来はどういう意味なのだろうか。家族と違って、私は、墓参りにもめったに行かない不心得者。先祖にも神仏にも手を合わせることもなく、彼らの存在を意識することもなく、かといって否定もしていなし、彼らが存在することに疑問を持っているわけでもない。・・・ただ時折思うのだが、非常に信心深い人の身の上に、多大なる不幸が襲い掛かることが多いように思えるのはなぜか・・・と。それほどに信心深い人がなぜ、身内や自分の不幸に耐えられないのか・・・と。

てなことをぼんやり考えたり、国会の委員会の審議を眺めたり、竹島問題(あれは日本の領土だ)に怒り狂う韓国の人々のニュース映像を眺めたりした、彼岸の入りという今日の日。




     
2005/3/18(金)
かたい体は命を縮める!
「アルは寝てばっかり〜」
「だけど、アルは〔犬のポーズ〕できるよ」
「だって、しっかり走り回ってるもんね」


アルは、よく寝る。そして、起きたら必ず、ヨガの「犬のポーズ」そっくりにストレッチングしてから動き回る。

私は体が固い。股関節の固さは我ながら泣ける。背中も板のように固いので、リンボーダンスしようものなら、空を見上げた途端にひっくり返ると思う。長年の運動不足が、腰・背中・股関節からますます柔軟性を奪い、体をゆがませ、仙骨と足をつなぐ筋が固くこわばり、右足は左足より短い。これが私の腰痛の原因になっている。今日、ジムに行って、去年の8月以来、私のトレーニングメニューを作ってくれている、いつものトレーナーに相談して、体をチェックしてもらい、ストレッチングを指導してもらった。ストレッチングとヨガの〔猫のポーズ〕のような動きなどを組み合わせた「スペシャルメニュー」の出来上がり。




     
2005/3/19(土)
乞食と風は10時から
「早起きすると昼寝も早い」
「・・・じゃなくて」
「いい天気だね、仕事がはかどるね」


午前中、一番日当たりのいいのが、この車庫の前。いい匂いを放つ沈丁花の鉢のとなりでアルは番犬をする。すぐ向かいの銀行の人の出入りまでチェックするから、アルはとても忙しい。・・・うたた寝してるね、アル。

早朝、きれいな青空に、今日は風もなく穏やかな日和かと思っていたら、父が言う。「乞食と風は10時から、だ」、と。うちの両親は、時折、怪しげなことを言うのでおもしろい。風は10時頃から吹き始めるのだという。確かにそうだ。今日も洗濯物を干し終えた10時過ぎ、強い風が吹き始めた。

そして、乞食は、・・・・乞食は今時見かけないでしょ。昔ながらのおもらいさんを大きな神社仏閣の門前で見かけたのは、私が保育園にも行かないころの大昔のことだ。彼らも10時過ぎになって、稼ぎの場に出かけたのだろうか。




     
2005/3/20(日)
これは警告か
「念入りにチェック!」
「コーンのひとつひとつをチェックするの」
「どこかに大事なメッセージがあるのよ」


夕方散歩、いやいや出かけたアルはすぐに戻ってきた。「アルはオシッコとウンチしたの?」・・・してないらしい。父と出かけるといつもこうだ。「アルが行きたがらないんだ」と父は言うが、それは違うと思う。面倒だな〜、行きたくないな〜という父の気持ちがリードを通してアルに伝わるんだな、きっと。食事の支度を途中でストップして、散歩に行くことにした。「そんなんじゃダメっ。さ、行くよっ!」

突如アルは、お散歩大好きワンコに変身。私の意志がアルに伝わったのだ。父を引っ張り、どんどん走った。丹念に情報収集を繰り返しながら、夕方散歩を敢行した。

福岡・佐賀で震度6強の地震発生。東京からは遠く離れた九州での地震は、報道の扱いも小さい。人々の関心も薄いのだろうな。親戚たちの安否は確認した。今のところ、家屋にも人的被害もないらしい。北部九州には地震なんてめったにない。まさかと思っていたところに地震が発生した。これは、そのうち東海・東南海・南海にも行くからな、覚悟しとけよ、というメッセージなのかな・・・。狭い日本、どこで地震が起きてもおかしくないということか。




     
2005/3/21(月)
日本にとってコアな産業とは?
「胸張りっ!」
「おおー、空が見える」
「飛行機雲がいっぱいだ」
「近頃、飛行機のコースが変わったんだ」


小牧の名古屋空港がメインの頃は、上空を大きく旋回する飛行機が多く見られたが、今は、東西に直進する飛行機ばかり。

賛否両論あるが、新空港を作り、ナゴヤは一歩を踏み出した・・・のではないだろうか。踏み出した先に何があるかわからないので立ちすくむ人ももちろんいる。だが、この一歩で、地域も人の心も、確かに変化へと向かうのだ。モノ作りを基盤とする企業群を有し、無借金経営の堅実な企業風土の地味な土地が、人の流入を許し、人との関わりを生かそうとし始めている。eコマースとかM&Aとか、株とかデイトレーデングとか、今流行りの賢い金儲けとは少し違う方向のような気がする。元気な、体当たりの、失敗しても何かを得ることができるような、そんな方向へ行くのではないかな、と、期待することにしよう。

アルに、新しい迷子札をつけてやりました。記入欄がとても小さかったので、テプラで印刷してみました。




     
2005/3/22(火)
雨の日のなぐさみに
「昨日、こうやって押さえつけられて」
「耳の中までチェックされちゃって」
「シャンプーされそうになったんだよ」


これは昨日の画像。アルの全身をチェックしたら、かなり野生に近づいていた。つまり、汚れきっていた。散歩の時、銀行の駐車場を横切る時など、なぜか汚い車のすぐそばをすり抜けたがる。真っ黒の排気筒の下をくぐるようで、耳や腰などに、ふいたくらいでは取れない黒いスス汚れをつけていることもある。アルの毛をかき分けて見ると、真っ白なはずのアンダーコートがすっかりねずみ色。

アル、シャンプーするよっ!・・・と宣言してみたが、雨の予報。雨の前日に洗車するようなものである。そして、予報どおり今日は雨。冷たい無情の雨。・・・アルにとっては慈雨だったか?

調子狂っちゃう雨の日に、やりのこしていること、やってみたいこと、やらねばならないことなど、紙につらつらと書き出してみた。




     
2005/3/23(水)
淡々と続けるべし
「昨日と同じ見上げ方をするんだね、って?」
「またそこで寝てるの? って?」
「ネーチャンも毎日けっこう同じパターンじゃん」


・・・それもそうだ。一日家から出ないこともあれば、続けて外出することもあるが、相変わらず色気のない毎日である。この年になると恋をするのはむずかしいのだ。「こい」と入力して変換すると、まず「来い」、次に「故意」、そして「濃い」が出てくるようでは、「ときめき」もはるか昔の思い出の引き出しの中にしまいこまれたままカビが生えているんじゃなかろうか。

見た目だけ若くてもダメじゃないか。人が年を取るのは、少しずつ死に近づいているということではないのだ。少しずつ、賢くなり、豊かになり、自分になるということなのだ。多分。そして、夢が私にそのパワーをくれるのだ。だから、怖れず、くじけず、あきらめず・・・。




     
2005/3/24(木)
チェルシーが死んだ
「チェルシーがどうしたの?」
「死んだって、どういうこと?」
「いないってこと?」
「じゃ、明日、会いに行こうよ」


今朝、アルが父とドライブに行った留守に、チェルシーのオトーサンとオカーサンが尋ねてきた。昨夜、チェルシーが死んだという。急激にガンが膨れ上がり、気づいた時には手遅れ状態だったという。

チェルシーとアルは、10年前の5月以来の友だちだ。アルより3ヶ月ほど年下の、おとなしいワンコだった。ハスキーとシェルティーのハーフで、父犬のシェルティーに似たやさしい顔立ちに、母犬のハスキーに似た大きな体で、クリーム色の柔らかな被毛のきれいな子だった。生後半年ほどのアルと、生後まだ3ヶ月ほどのチェルシーは、早朝5時から毎朝のように、時計塔の下の芝草の上で、取っ組み合いして遊んでいた。

「チェルシーが死んだんだよ」とアルに言うと、アルは、チェルシーを探すようにキョロキョロしたという。沈丁花の花の咲く頃に逝ってしまったチェルシーに、明日、白い花を花束にして持って行こうね、アル。




     
2005/3/25(金)//
名残の雪
「うわ・・・雪?」
「地面に届いたら、消えちゃうよ」
「これでも雪?」


午前中、何度か雪が舞い飛んだ。8時過ぎだったか、一瞬だが吹雪のようだった。

春3月、名残の雪だ。小学校の5年だったか、3学期の終業式の日、一面の雪景色の中、登校した覚えがある。下校時には太陽が輝き、それでもまだ雪だるまを作れるほどに雪は残っていたっけ。。夕方までには融けてしまったけれど。佐賀県では名残の雪は珍しくはなかった。

「なごり雪」といえば、イルカの歌だが、私が連想するのは、眉村卓の『名残の雪』。原作の跡形もないほどに脚色されて少年向けのテレビドラマ『幕末未来人』となって放映された。このテレビドラマを夢中になって見て、原作も読んだのだった。・・・名残の雪を見ると、あの頃の自分を思い出して、少しばかり苦い気分になる。私があの頃の私に会えるのなら、言ってやりたい。「そこで、引きこもるな」、と。




     
2005/3/26(土)/
不意打ち
「オトーサン、どうしたの?」
「オカーサン、どーしたの?」


夕方、たっぷりの散歩とオシッコを何度もしたのに、アルは、台所とリビングにオシッコをしていた。・・・ちょっと変だね、アル。・・・と思っていたら、夕食後、アルがまたオシッコ。今度は赤いものが混じっていたらしい。血尿かっ?!

というわけで、私が帰宅したら両親が騒動していた。動物病院が電話に出ないっ、と。アルは、と見ると、いつも通りに元気。食欲もある。ただ、両親を不思議そうに眺めている。明日、年中無休の24時間態勢の犬山動物病院に連れて行こう。朝の散歩で、オシッコを採取することにしよう。年を取って、腎臓の働きが悪くなったのか、食べさせすぎて・・・糖尿病になったのか・・・。それとも他に原因があるのか。

今夜は、ウロウロとあちこちでオシッコしないように、書斎に閉じ込める。超特大サイズのペットケージを組み立て、中にクッションと水を置き、書斎に新聞紙とペットシーツを敷き詰めておこう。




       
2005/3/27(日)
ようやく覚悟ができたよ
「散歩かぁ・・・」
「オシッコしなくちゃねぇ」
「犬のポ〜〜〜ズ」


今朝、8時近くにゆっくりと起きてきたアル、オシッコのためだけに外に出た。スーパーの、サンマがのってた発泡スチロールの細長いトレイを持ってついていき、アルの朝一番のオシッコを採取。おんなのこワンコは、オシッコの時に脚を上げないので、トレイをスッと差し入れて受けるのだ。・・・血の塊がポトリと混じったオシッコを、これまた洗って取っておいたジャムの空き瓶に入れて、年中無休で24時間態勢で、全方位から動物の健康を考える設備満点の犬山動物病院へ出かけた。いつもは、助手席にひとりで座らせるアルを、私が抱いて乗る。嫌がらずに、全身を私に預けるあたり、やはり、体調満点ではないようだ。

(飼い主への)問診によると「典型的な膀胱結石の症状」だったが、エコー検査、エックス線検査、および、持参した尿検査によって、「結石はまだできていないものの、結晶がキラキラ輝いている。重い膀胱炎でオシッコが濁っている」と判明。ずいぶん前から、頻繁に股間を舐めているアルの様子を気にしていたのだが、見た目の元気さについ甘く見てしまっていた私の落ち度である。グルーミングの時に、股間にオシッコがこびりついているのにも気づいていたのに・・・。雨の日の散歩を嫌がるアルに、オシッコをさせる方法を工夫することもなく、放置し、結果、アルにオシッコを我慢させてしまった私の落ち度である。

まずは、注射と投薬1週間。そして、採尿して(採尿スティックというものをもらってきた)、検査結果次第で、石ができていたら療法食による治療開始、との方針が決定。

それよりも問題は、エックス線検査ではっきりと見えた、椎間板ヘルニアの危険性である。腰の位置の椎間板が2箇所、スキマが狭くなっていた。まだ、痛みは生じていないかもしれない。しかし、急激な動き、激しい運動でいつ何時、椎間板ヘルニアが発症してもおかしくない状態だ。できるだけ、運動を避けるようにとの指示。

さらに、「骨盤を骨折したことがありますか?」と驚くべき質問を受けた。骨盤の一部、なめらかであるべきラインがギザギザしているらしい。「便の影が邪魔して、そのように見えるだけかもしれないが」とのことではあったが、9歳半頃からの足腰の衰えと見えた現象は、ひょっとしたら衰えでなく、ケガだったのだろうか?

いずれにしても、来客や外の音にいちいち反応して、急角度で飛び出すアルの動きを制限しなければならない。この何年もしまいこんでいた超特大サイズのケージにアルのベッドを入れて、いつもの場所に置いてみた。最初は嫌がったアルだったが、いつもの場所に置くことで、あっさりと自分の場所と見なしたようで、扉をロックされてもおとなしく寝てくれるようになった。明日は、ベッドと水、トイレの置き場を工夫したい。

「フードをひと粒ずつ食べる減量作戦」がきいたのか、体重は11.5キロほど。これ以上太らないようにしようね。そして、アルにとって一番いい結果が出ますように。

「ようやくアタシの状態に気づいてくれて、ホッとしたよ」




     
2005/3/28(月)
泰然自若・・・か?
「アタシはいつもと同じだよ」
「雨だから寝てるの」


・・・アルに言わせればそんなところかもしれない。鼻も濡れてる、食欲もある。ただ、我々の態度が違うのを察知して、「・・・なんか変なの?」と不審がっているのかもしれない。

アルが足を滑らさないように、ソファに飛び上がったり、飛び降りたりしないように、テーブルの下にもぐる時に腰をぶつけたりしないように、アルの動きを監視。そんな我々の気持ちを知ってか知らずか、アルはこうしてケージの中のベッドでリラックス。今までだったら、物音に反応して、ガウガウと飛び出して行ったけれど、ガウガウと吠えることはあっても、ケージの扉が開いていても、外に飛び出そうとはしない。自分の足腰の動きが思わしくないのを、ワンコながら自覚して、用心しているのかもしれない。




     
2005/3/29(火)
食う?
「・・・これは、アタシの匂い?」
「食べられるもの、落ちてないかな〜」


これぞワンコの正しい姿。あっちウロウロ、こっちウロウロ、食べ物探して今日も行く。薬が効いたのか、膀胱炎のピークは過ぎた模様。ただし、膀胱結石の怖れと椎間板ヘルニア発症の危険性は消えない。したがって、ダイエットは継続中。・・・現代のワンコは辛いよ。

食うか食われるかのドラマを見る気がするのが、近頃のライブドア関連ニュース。昔、株は危険な匂いがした。しかし、NTT株上場の時から、株は一般社会に近づいてきた気がする。20年ほど前だったか? NTT株を手に入れるのは抽選ではなかったか? ほとんど宝くじ感覚。 1株100万円くらいだったか? 今は?と調べてみたら、40万ほど。最初の売り出し時に購入した株主が今も持っているとしたら、大幅な含み損を抱えているではないか。NTTはあんなにたくさんの資金を調達して、それから成長しなかったのか? まさかそんなことはあるまい。株式の分割や増資、新会社の株式の無償交付などといった形で、株主たちにも恩恵を分け与えたに違いない。




     
2005/3/30(水)
好きなもの
「ご飯、ガム、焼き芋・・・」
「たっぷりのネンネ・・・」
「ぶらぶら散歩、ドライブ・・・」
「みんなと一緒にいること」


コーギーといえば、イギリスの女流画家ターシャ・チューダー。彼女のコーギー絵本は楽しい。今もビクトリア朝の生活様式を守り、美しい庭を作り、生活を楽しむ彼女のかたわらには常にコーギーがいる。彼女の本の挿絵には、必ずコーギーが描かれていて、人と一緒にいることを楽しむ自然なコーギーの姿が写しだされている。

うちにも画家がいる。父だ。戦争で一家の大黒柱が徴兵され、シベリア抑留され、美大進学を断念したという父は、還暦過ぎてから油絵教室に通い始めた。近頃、ようやくアルを描く気になったらしい。

アルの画像のかわいいところをプリントアウトしてお手伝い。父のため、というよりも、アルをかわいく描いてもらうため。楽しみだね、アル。




     
2005/3/31(木)
育てるのが上手
「温室に植木鉢がいっぱいね」
「アタシより大きなクンシラン・・・」
「サボテン、その他いろいろ」


伯母の家に届け物。数年前に自分の会社を整理した伯母、工場内の設備備品等の処分は延び延びになっていたが、去年ついに敢行。ガランとしただだっ広い工場は、温室になっている。アルは、この工場内を歩いたり走ったり、久々に晴れやかな顔をしてみせた。

伯母はGreen thumberだ。園芸だけでなく、なんでもできる人だ。昔の日本は、学校や家庭や社会でどんな教育をしていたのだろう。働き者で、生活力があって、しとやかで芯が強くて、何でも作れる人、そんな伯母みたいな人たちがたくさんいたのだろうなぁ。

アメリカの子どもたちは、その親世代に比べると、麻薬に手を出す子どもたちが減った、それに、犯罪の加害者・被害者になる子たちも減ったという。しかし、肥満体の子どもたちは増え、生活困難世帯は増え、離婚家庭で片親の子どもたちも増えた。日本はどうだろう、日本もこんな感じだろうか。10年後にはそうなってしまうのだろうか。




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